【電験3種】法規・計算問題「電線の張力」「支線の張力」「風圧荷重」の計算例

電験三種(法規)における計算問題「電線の張力」「支線の張力」「風圧荷重」の計算例をまとめました。

【電技6条】 電線等の断線の防止

電技6条では、電線等の断線の防止について記載されています。

(電線等の断線の防止)
第六条 電線、支線、架空地線、弱電流電線等(弱電流電線及び光ファイバケーブルをいう。以下同じ。)その他の電気設備の保安のために施設する線は、通常の使用状態において断線のおそれがないように施設しなければならない。

電線は、強く引っ張られることで、重力による「たるみ」が小さくなります。
ただし、電線は気温が低くなると縮み、熱くなると伸びるため強く引っ張りすぎると電線がキレてしまう恐れがあります。
そのため、強すぎず弱すぎない適切な強さで、支持物(電柱や鉄塔など)で電線を引っ張る必要があります。

【電技解釈66条】電線のたるみ(弛度:ちど)、許容引張荷重、安全率

電線中央部のたるみ(弛度)D[m]は、以下の式で計算できます。

(1)   \begin{eqnarray*} D=\frac{WS^2}{8T} \end{eqnarray*}

W:電線1mあたりの合成荷重[N/m]
S:径間[m]
T:電線の水平張力(引張荷重)[N]

電線1mあたりの合成荷重W[N/m]は以下の式で計算できます。

(2)   \begin{eqnarray*} W=\sqrt{(W_o+W_i)^2+W_w^2} \end{eqnarray*}

Wo:電線の自重[N/m]
Wi:氷雪荷重[N/m]
Ww:風圧荷重[N/m]

許容引張荷重

許容引張荷重T[kN]は、引張強さ[kN]を安全率で割ったものです。
電技解釈66条1項の【66-1表】で、電線の種類によって、引張強度は決められているため、安全性(安全率)を考慮して引張強さより小さい許容引張荷重で電線を引っ張ります。

許容引張荷重T = 引張強さ / 安全率

【低高圧架空電線の引張強さに対する安全率】(省令第6条)
第66条 高圧架空電線は、ケーブルである場合を除き、次の各号に規定する荷重が加わる場合における引張強さに
対する安全率が、66-1表に規定する値以上となるような弛度により施設すること。
一 荷重は、電線を施設する地方の平均温度及び最低温度において計算すること。
二 荷重は、次に掲げるものの合成荷重であること。
イ 電線の重量
ロ 次により計算した風圧荷重
(イ) 電線路に直角な方向に加わるものとすること。
(ロ) 平均温度において計算する場合は高温季の風圧荷重とし、最低温度において計算する場合は低温季の風圧荷重とすること。
ハ 乙種風圧荷重を適用する場合にあっては、被氷荷重

【66-1表】

電線の種類 安全率
硬銅線又は耐熱銅合金線 2.2
その他 2.5

【電技解釈61条】支線の張力

支線(電線の水平張力Pと逆方向に張ることで、支持物の傾きを抑える線)の張力T(引張許容荷重)は、電線の水平張力と等しくなるように計算して取り付ける必要があります。
ただし、支線の取り付け方により計算方法が変わります。

電線が1本、取り付け高さが同じ場合

水平方向の力の釣り合い条件から以下の計算式になります。

(3)   \begin{eqnarray*} T=\frac{P}{sin\theta}=\frac{P\sqrt{h^2+l^2}}{l} \end{eqnarray*}

P:電線の水平張力[kN]
θ:支線の角度[deg]
h:取り付け高さ[m]
l:支線の根開き[m]

電線が1本、取り付け高さが異なる場合

支持物の根本からのモーメントの釣り合い条件から以下の計算式になります。

(4)   \begin{eqnarray*} T=\frac{Ph}{Hsin\theta} \end{eqnarray*}

P:電線の水平張力[kN]
θ:支線の角度[deg]
h:取り付け高さ[m]
l:支線の根開き[m]

電線が2本、取り付け高さが異なる場合

支持物の根本からのモーメントの釣り合い条件から以下の計算式になります。

(5)   \begin{eqnarray*} T=\frac{P_1h_1+P_2+h_2}{Hsin\theta} \end{eqnarray*}

P1:電線1の水平張力[kN]
P1:電線2の水平張力[kN]
θ:支線の角度[deg]
h1:電線1の取り付け高さ[m]
h2:電線2の取り付け高さ[m]
l:支線の根開き[m]

支線の許容引張荷重

支線の張力Tも、電線と同じく安全性を考慮して許容引張荷重以下にする必要があります。

許容引張荷重 = (素線の条数×素線1条あたりの引張強さ) / 安全率 = 支線の引張強さ / 安全率

電技解釈61条では、支線を施設するときの具体的なスペックが記載されています。

【支線の施設方法及び支柱による代用】(省令第6条、第20条、第25条第2項)
第61条 架空電線路の支持物において、この解釈の規定により施設する支線は、次の各号によること。
一 支線の引張強さは、10.7kN(第62条及び第70条第3項の規定により施設する支線にあっては、6.46kN)以上であること。
二 支線の安全率は、2.5(第62条及び第70条第3項の規定により施設する支線にあっては、1.5)以上であること。
三 支線により線を使用する場合は次によること。
素線を3条以上より合わせたものであること。
ロ 素線は、直径が2mm以上、かつ、引張強さが0.69kN/mm2以上の金属線であること。
四 支線を木柱に施設する場合を除き、地中の部分及び地表上30cmまでの地際部分には耐食性のあるもの又は亜鉛めっきを施した鉄棒を使用し、これを容易に腐食し難い根かせに堅ろうに取り付けること。
五 支線の根かせは、支線の引張荷重に十分耐えるように施設すること。
2 道路を横断して施設する支線の高さは、路面上5m以上とすること。ただし、技術上やむを得ない場合で、かつ、
交通に支障を及ぼすおそれがないときは4.5m以上、歩行の用にのみ供する部分においては2.5m以上とすることができる。
3 低圧又は高圧の架空電線路の支持物に施設する支線であって、電線と接触するおそれがあるものには、その上部
にがいしを挿入すること。ただし、低圧架空電線路の支持物に施設する支線を水田その他の湿地以外の場所に施設する場合は、この限りでない。
4 架空電線路の支持物に施設する支線は、これと同等以上の効力のある支柱で代えることができる。

電技解釈62条では、高圧又は特別高圧の架空電線路の支持物として使用する木柱、A種鉄筋コンクリート柱又はA種鉄柱における支線の施設方法について記載されています。

【架空電線路の支持物における支線の施設】(省令第32条第1項)
第62条 高圧又は特別高圧の架空電線路の支持物として使用する木柱、A種鉄筋コンクリート柱又はA種鉄柱には、次の各号により支線を施設すること。
一 電線路の水平角度が5度以下の箇所に施設される柱であって、当該柱の両側の径間の差が大きい場合は、その径間の差により生じる不平均張力による水平力に耐える支線を、電線路に平行な方向の両側に設けること。
二 電線路の水平角度が5度を超える箇所に施設される柱は、全架渉線につき各架渉線の想定最大張力により生じる水平横分力に耐える支線を設けること。
三 電線路の全架渉線を引き留める箇所に使用される柱は、全架渉線につき各架渉線の想定最大張力に等しい不平均張力による水平力に耐える支線を、電線路の方向に設けること。

【電技32条】風圧荷重

電技32条1項で、支持物が耐える必要のある風圧果汁について記載されています。

(支持物の倒壊の防止)
第32条 架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む。)は、その支持物が支持する電線等による引張荷重、10分間平均で風速40m/sの風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される地理的条件、気象の変化、振動、衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。ただし、人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては、その施設場所を考慮して施設する場合は、10分間平均で風速40m/sの風圧荷重の二分の一の風圧荷重を考慮して施設することができる。
2 架空電線路の支持物は、構造上安全なものとすること等により連鎖的に倒壊のおそれがないように施設しなければならない。

電技解釈58条では、強度計算に用いられる風圧荷重の種別として、甲種、乙種、丙種、着雪時風圧荷重が記載されています。

【架空電線路の強度検討に用いる荷重】(省令第32条第1項)
第58条 架空電線路の強度検討に用いる荷重は、次の各号によること。なお、風速は、気象庁が「地上気象観測指
針」において定める10分間平均風速とする。
一 風圧荷重 架空電線路の構成材に加わる風圧による荷重であって、次の規定によるもの
イ 風圧荷重の種類は、次によること。
(イ) 甲種風圧荷重 58-1表に規定する構成材の垂直投影面に加わる圧力を基礎として計算したもの、又は風速40m/s以上を想定した風洞実験に基づく値より計算したもの →※電線は980Pa
(ロ) 乙種風圧荷重 架渉線の周囲に厚さ6mm、比重0.9の氷雪が付着した状態に対し、甲種風圧荷重の0.5倍を基礎として計算したもの
(ハ) 丙種風圧荷重 甲種風圧荷重の0.5倍を基礎として計算したもの
(ニ) 着雪時風圧荷重 架渉線の周囲に比重0.6の雪が同心円状に付着した状態に対し、甲種風圧荷重の0.3倍を基礎として計算したもの

【計算例】「許容引張荷重」「弛度」

両端の高さが同じで径間距離100mの架空電線路がある。
合成荷重(電線の重量と水平風圧)が30N/mで、電線の引張強さが22kN,安全率が2.2のとき電線の「許容引張荷重」「弛度」を計算せよ。

●許容引張荷重
許容引張荷重T = 引張強さ / 安全率 = 22kN / 2.2 = 10kN

●弛度

(6)   \begin{eqnarray*} D=\frac{WS^2}{8T}=\frac{30\times100^2}{80000}=\frac{300000}{80000}=3.75m \end{eqnarray*}

【計算例】「支線の張力」「支線の素線の必要最小条数」

【問】
以下のA種鉄筋コンクリート柱があり、支線(亜鉛メッキ銅より線)の素線が直径2.0mm、引張強さ1kN/mm2、取り付け高さhが5m、電線の水平張力Pが10kN、支線の根開きlが5mのとき、「支線の張力」「支線の素線の必要最小条数」を求めよ。

●支柱の張力T

(7)   \begin{eqnarray*} T&=&\frac{P}{sin\theta}\\ &=&\frac{P\sqrt{h^2+l^2}}{l}\\ &=&\frac{10000\sqrt{5^2+5^2}}{5}\\ &=&14142N=14kN \end{eqnarray*}

●支線の素線の必要最小条数

素線1条あたりの引張強さは

●支柱の張力T

(8)   \begin{eqnarray*} \frac{\pi}{4}\times 2.0^2 \times 1000 = 3.4kN \end{eqnarray*}

安全率は電技解釈61条2項より1.5で、許容引張荷重=張力なんおで、

素線の条数=(安全率×許容引張荷重×安全率)/素線1条あたりの引張強さ=(1.5×14000)/3400≒6.2

よって必要最小条数は5となる。

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