【電験3種・法規】高圧ケーブルのA種接地工事とは?シールドアースの役割とZCTとの関係

電験3種における高圧ケーブルのA種接地工事とは?シールドアースの役割とZCTとの関係についてまとめました。

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高圧ケーブルのA種接地工事

高圧ケーブルは、通常使用状態では碍子(サポート含む)に支持されています。
また、碍子は金属体に支持されており、この金属体はA種接地されています。
高圧ケーブルは、金属遮蔽層(遮蔽銅テープ)を接地する際、この金属体へ接続されることが多いです。

A種接地工事・・・高圧機器の鉄台・金属製外箱、避雷器、屋内配線の高圧ケーブルの金属遮蔽層(遮蔽銅テープ)

構造 概要
芯線 負荷電流が流れます。
絶縁体 芯線を絶縁するためのもの。局部的に電位傾度の高い箇所があると、そこの絶縁性能が劣化するため、それを防ぐために、絶縁体の外側に金属遮へい層があります。
金属遮へい層 絶縁体の外側にある層で、銅テープなどが巻かれています。別名、「ケーブルシース」「シールドアース」などともいいます。金属遮へい層を接地することで、心線からの誘電束密度を均平化し、絶縁体の劣化を防ぎます。遮蔽層を接地しないと、静電誘導により芯線、銅テープ、対地間に、静電容量に反比例する電位差(誘導電圧)が生じます。そのため、人が接地線に触れると電撃を受ける恐れがあります。また、芯線を流れる電流により金属遮へい層(遮蔽銅テープ)に渦電流が発生し、発熱(焼損)や絶縁体の劣化を生じさせます。
外装被覆 シースともいい、内側の金属遮へい層や絶縁体が濡れたり、傷んだりすることを防ぎます。
ZCT(零相変流器) ZCTを貫通する3相分のケーブルに流れる電流を測定します。3相分の電流をベクトル合成した値は0となりますが、例えば1相だけ地絡した場合、1相だけ大きな電流(負荷電流+地絡電流)が流れるため、ベクトル合成した値は0とならないため、地絡していることがわかります。地絡がない場合、一括地絡電流を検出します。地絡電流の通路となる遮蔽層銅テープは接地し、接地線も貫通させる必要があります。
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ZCTに接地線を通す理由

ZCTは、貫通するケーブルに流れる電流のバランスの崩れをみて、地絡電流を検知します。
金属遮へい層が接続されている接地線(アース)は、以下のようにZCT(零相変流器)を通す必要があります。

高圧ケーブルの場合、例えば上記のように高圧ケーブルの絶縁物が劣化して地絡が生じたとします。
すると、地絡電流は次のように流れていきます。

①芯線(系統側) → ZCT → 地絡点 → 金属遮蔽層(負荷側)
②金属遮蔽層(負荷側) → ZCT → 金属遮蔽層(系統側)
③接地線 → ZCT → 大地

もし、③のように接地線をZCT内に通過されない場合、地絡電流がZCTを1往復して終わるため、ZCT(零相変流器)では、零相変流は打ち消されて0Aとして測定されてしまい、地絡電流が流れていることを検知できなくなります。

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片側接地と両端接地

高圧ケーブルの接地は片側接地が一般的ですが、ケーブルの亘長が長い(数kmなど)の場合、ケーブル抵抗が大きくなるため、非接地端の終端に発生する誘起電圧が大きくなります。
そのため、ケーブルの亘長が長い場合は両端接地を取ることもあるようです。
ただし、高圧引き込みケーブルで系統側と負荷側の両端に接地を取ると、迷走電流が流入して金属遮蔽層の加熱・劣化やZCT(零相検出器)の誤検出により、GRが誤動作してPASが開放し、構内が停電してしまう可能性もあるため「高圧引込みケーブルは片端接地」とされているようです。

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