電験3種の電力分野における電力分野「新エネルギー発電所」の対策・計算問題についてまとめました。
新エネルギー発電
発電方式|概要
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太陽電池発電|・太陽電池で発生した直流電力は、PCS(インバータ)で交流に変換して系統に接続
・PCSに内蔵される連系保護装置で、電気事業者の配電線に連系して悪影響を及ぼさないようにしたり、系統停電時などに電力の供給を停止する・太陽電池の変換効率は太陽電池の種類は、約7〜20[%]程度
・太陽光発電を導入する際、その地域の年間発電電力量(設置する方位や傾斜により変動)を予想することが必要
風力発電|・同期発電機、久磁石式発電機、誘導発電機が用いられる(大形の風力発電機は、同期発電機又は誘導発電機が使われている)
小水力発電|河川や用水路などでの流込み式発電が用いられる場合が多い。
分散型電源|分散型電源からの逆潮流による系統電圧上昇を抑制する手段として、分散型電源の出力抑制や、電圧調整器を用いた電圧の制御などが行われる。
洋上風力発電|陸上の系統の接続では、海底ケーブルによる直流送電が用いられることがある誘電損を考慮しなくて良い利点がある)。
燃料電池発電|水素と酸素との発熱反応で直流の電力を発生させる。負荷変動に対する応答が早い。化学反応で発生する熱は給湯などに利用できる(代表的な製品はエネファームなど)。
地熱発電|地下から取り出した蒸気によってタービンを回して発電する方式。発電に適した地熱資源は火山地域に多く存在する。
バイオマス発電|植物や動物が生成・排出する有機物から得られる燃料を利用する発電方式である。
燃料の代表的なものには、さとうきびから得られるエタノール、木くずから作られる固形化燃料や、家畜の糞から作られる気体燃料(メタンガスなど)がある。
や、家畜の糞から得られるが燃料として用いられる。
太陽電池発電
太陽光発電では、太陽電池の光電効果を利用して太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する。
地球に降り注ぐ太陽光エネルギーは、1m2当たり1秒間に約1kJに相当する。
太陽電池の基本単位はセルと呼ばれ、直流電圧1V程度が発生するため、これを直列に接続して電圧を高めている。
太陽電池を系統に接続する際はPCS(パワーコンディショナー)により交流の電力に変換する。
一部に地域では太陽光発電の普及によって日中に電力の余剰が発生しており、余剰電力は揚水発電の揚水に使われているほか、大容量蓄電池への電力貯蔵に活用されている。
風力発電
風力発電は、風のエネルギーによって風車で発電機を駆動し発電を行う。
風力発電所の出力は、エネルギー損失を無視すると、風速の3乗に比例します。
風車の受風面積をA[m2]、風速をv[m/s] とすると、単位時間当たりの出力P[W]は以下のようになります。
(1)
導出
単位時間当たりに通過する風の体積V [m3/s] は以下のようになります。
(2)
したがって、単位時間当たりに通過する風の質量m[kg/m3] は,空気の密度をρ[kg/m3] とすると,
(3)
物体の運動エネルギーE(=風車の出力)は
(4)
例題
【問題】
ロータ半径が30mの風車(パワー係数が50%)が、風速10m/sの風を受けるとき、風車のロータ軸出力[kW]を計算せよ。
ここで、空気の密度を1.2[kg/m3]とする。
※パワー係数・・・単位時間当たりにロータを通過する風のエネルギーのうちで、風車が風から取り出せるエネルギーの割合
【解答】
風車の受風面積Aは以下のようになる。
(5)
よって風車のロータ軸出力Pは以下のようになる。
(6)
ただし、パワー係数が50%なので、0.5Pの「850kW」が答え。


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