【電験3種】電力分野「原子力発電所」の対策・計算問題

電験3種の電力分野における電力分野「原子力発電所」の対策・計算問題についてまとめました。

原子力発電所

原子力発電は、原子燃料の核分裂により発生する熱エネルギーで水を蒸気に変え、その蒸気で蒸気タービンを回し、タービンに連結された発電機で発電します。
ウラン^235_92 Uを1g核分裂させたとき,発生するエネルギーは,石炭数トンの発熱量に相当する。

用語 概要
核物質 核分裂によって原子エネルギーを取り出せる物質は、原子量の大きなウラン(U)、トリウム(Th)、プルトニウム(Pu)。このうち、自然界に存在するのはウランとトリウムのみ。
結合エネルギー 原子核を陽子と中性子に分解させるために部から加えるエネルギー。
核反応 原子核に何らかの外力が加えられて、他の原子核に変換される現象。
核分裂 様々な原子核で起こる。ウラン235などのように核分裂を起こし,連鎖反応を持続できる物質を核分裂性物質という。ウラン238のように中性子を吸収して核分裂性物質になる物質を親物質という。天然ウラン中に含まれるウラン235は約0.7%で、残りは核分裂を起こしにくいウラン238である。ウラン235 の濃度が天然ウランの濃度を超えるものは、濃縮ウランと呼ばれており、低濃縮ウラン(濃縮度3〜5%程度)は原子炉の核燃料として使用される。
連鎖反応 ウランに熱中性子を衝突させると核分裂を起こすが、そのときに放出する高速中性子の一部が減速して熱中性子になり、この熱中性子が他の原子核に分裂を起こさせ、これを繰り返すことで連続的な分裂が行われる現象。
軽水炉 減速材と冷却材に軽水を使用する原子炉。天然ウラン中のウラン235の濃度を3~5%程度に濃縮した低濃縮ウランを原子燃料として用いる。
熱中性子炉 核分裂反応を起こさせるために熱中性子を用いる原子炉。軽水炉も熱中性子炉の1つ。
沸騰水型(BWR) 原子炉圧力容器の中で直接蒸気を発生させる原子炉。原子炉内で冷却材を加熱し、発生した蒸気を直接タービンに送るため、系統が単純になる(沸騰水型には蒸気発生器はない)。再循環ポンプを用いる。出力調整は、再循環ポンプによる冷却材再循環流量の調節と制御棒の挿入及び引き抜き操作により行われ、加圧水型原子炉の出力調整は,一次冷却材中のほう素濃度の調節と制御棒の挿入及び引き抜き操作により行われる。
加圧水型(PWR) 別置の蒸気発生器で蒸気を発生させる原子炉(沸騰水型と違い、蒸気タービンに放射線を帯びた蒸気が行かない)。原子炉内で加熱された冷却材の沸騰を加圧器で防ぐ。一次冷却材ポンプで原子炉、蒸気発生器で冷却材を循環させて熱交換を行い、タービンに送る二次系の蒸気を発生させる。
湿分分離器 原子炉又は蒸気発生器によって発生した蒸気が高圧タービンに送られる。高圧タービンにて所定の仕事を行った排気は、湿分分離器に送られて、排気に含まれる湿分を除去した後に低圧タービンに送られる。
熱効率 火力発電よりも蒸気量が多く、熱効率が高い(原子力発電所の高圧タービンの入口蒸気は飽和であるため、火力発電所の高圧タービンの入口蒸気に比べ、圧力・温度ともに高いため)。
タービンの回転速度 1500min−1又は1800min−1」としている。理由は、低圧タービンの最終段翼が35~54インチ(約 89 cm ~ 137 cm)の長大な翼を使用し、湿分による翼の浸食を防ぐため翼先端周速度を減らさなければならないため。
使用済燃料の再利用 原子力発電所から取り出された使用済燃料からは、再処理によってウランとプルトニウムが分離抽出され、再び燃料として使用できる。プルトニウムはウラン238から派生する核分裂性物質であり、ウランとプルトニウムとを混合したMOX燃料を軽水炉の燃料として用いることをプルサーマルという。また、軽水炉の転換比は 0.6 程度で、高速中性子によるウラン238のプルトニウムへの変換を利用した高速増殖炉では、消費される核分裂性物質よりも多くの量の新たな核分裂性物質を得ることができる。

例題

【問題1】
ウラン235(1g)が核分裂し、0.09 %の質量欠損が生じたときに発生するエネルギーE[kJ]を計算せよ。
※光速は3.0×10^8m/sとする。

【解答1】
ウラン 235 の質量欠損Δm[kg]は以下のとおり。

(1)   \begin{eqnarray*} \Delta m = \frac{1}{1000}\frac{0.09}{100}=9 \times 10^{-7} [kg] \end{eqnarray*}

よって、発生するエネルギーE[kJ]は以下のとおり。

(2)   \begin{eqnarray*} E= \Delta mc^2 = 9 \times 10^{-7}\times(3\times 10^8)^2=8.1\times 10^7 [kJ] \end{eqnarray*}

【問題2】
ウラン 235を3[%]含む原子燃料が 1 [kg] ある。
この原子燃料に含まれるウラン 235 がすべて核分裂したとき,ウラン 235 の核分裂により発生するエネルギー [J] の値を求めよ。

【解答2】
ウラン 235 を 3 [%] 含む原子燃料が 1 [kg] が核分裂したときの質量欠損 Δ [kg] は,質量欠損が 0.09 [%] であるから,

(3)   \begin{eqnarray*} \Delta m = \frac{3}{100}\frac{0.09}{100}=2.7 \times 10^{-5} [kg] \end{eqnarray*}

よって、発生するエネルギーE[J]は以下のとおり。

(4)   \begin{eqnarray*} E= \Delta mc^2 = 2.7 \times 10^{-5}\times(3\times 10^8)^2=2.3\times 10^{12} [J] \end{eqnarray*}

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