【電験3種】外部委託で無停電年次点検(3年に2回)を行うための条件

電験3種における外部委託で無停電年次点検(3年に2回)を行うための条件についてまとめました。

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3年に2回の年次点検は無停電で行うための条件

電気事業法施行規則 第52条第2項の規定により、保安管理業務外部委託承認制度(以下、「外部委託制度」)を導入する自家用電気工作物については、その承認要件のひとつとして、内規で年次点検に係る要件を次のとおり規定しています。

【主任技術者制度の解釈及び運用(内規)】(
4.(7)③年次点検を、月次点検に係る②の要件に加え、次のイ及びロに掲げる要件に従って行うこと。
1年に1回以上行う。(ただし、信頼性が高く、かつ、下記③ロの各号と同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器については、停電により設備を停止状態にして行う点検3年に1回以上とすることができる。)
ロ 次の(イ)から(ホ)までに掲げる項目の確認その他必要に応じた測定・試験を行う。
(イ)低圧電路の絶縁抵抗が電気設備に関する技術基準を定める省令第58条で規定された値以上であること並びに高圧電路が大地及び他の電路と絶縁されていること。
(ロ)接地抵抗値が電気設備の技術基準の解釈第17条で規定された値以下であること。
(ハ)保護継電器の動作特性試験及び保護継電器と遮断器の連動動作試験の結果が正常であること。
(ニ)非常用予備発電装置が商用電源停電時に自動的に起動し、送電後停止すること並びに非常用予備発電装置の発電電圧及び発電電圧周波数(回転数)が正常であること。
(ホ)蓄電池設備のセルの電圧、電解液の比重、温度等が正常であること。

つまり、「停電年次点検については原則として1年に1回」ですが、内規4.(7)イただし書よりて「信頼性が高い機器であること」及び「4.(7)③ロの各号と同等と認められる点検であること」については、停電点検を3年に1回以上の頻度で実施することができるとあります(つまり、3年に2回は無停電年次点検、1回は停電年次点検が可能)。

関東東北産業保安監督部のHPをみると、以下の無停電年次点検を行うための承認条件リストが公開されていました。

種別 引用した資料
告示・訓令・通達 主任技術者制度の解釈及び運用(内規)点検頻度等に関する告示(経済産業省告示第249号)
参考資料 (参考)電気主任技術者制度に関するQ&A主任技術者制度の解釈及び運用(内規) 4.(7)③イ括弧書きにおける停電点検の延伸に係る要件の明確化について自家用電気工作物の標準的な点検項目について(「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の一部改正)
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「信頼性が高い機器」の要件

【主任技術者制度の解釈及び運用(内規) 4.(7)③イ括弧書きにおける停電点検の延伸に係る要件の明確化について】

(1)設備を構成する個々の機械器具において、設計上、製作上又は施工上支障があるものではないこと。
(例)リコール制度による届出や保安上の注意喚起等の対象となっていないこと。
(2)保安上の観点から、設備構成に一定の信頼性が認められるものであること。
(例)告示第4条第7号イ~ニまでの設備条件のすべてに適合するものであること。

告示第4条第7号
柱上に設置した高圧変圧器がないもの
ロ 高圧負荷開閉器(キュービクル内に設置するものを除く。)に可燃性絶縁油を使用していないもの
ハ 保安上の責任分界点又はこれに近い箇所に地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器又は地絡遮断器が設置されているもの
責任分界点から主遮断装置の間に電力需給用計器用変成器、地絡保護継電器用変成器、受電電圧確認用変成器、主遮断器用開閉状態表示変成器及び主遮断器操作用変成器以外の変成器がないもの

(3)設備環境上支障のあるものではないこと。ただし、適切な対策が講じられているものは除く。
(例)
・腐食性ガスや可燃性ガス等の滞留する場所に設置されているものではないこと。
・高温多湿による保安機能の支障が生じる環境に設置されているものではないこと。
・塩害による保安機能の支障が生じる環境に設置されているものではないこと。

(4)使用実績又は維持管理状況を踏まえて、次回の停電年次点検まで(3年後まで)の間における設備の信頼性に支障が認められるものではないこと
(例)
・前回の停電年次点検において、内規で定める点検が実施されており、その結果(修理等を行った場合にはその結果も含む。)が支障ないものであること。
・前回の停電年次点検以降で実施した無停電での年次点検及び直近までの月次点検の結果(修理等を行った場合にはその結果も含む。)が支障ないものであること。
・製造者等が推奨する取替更新時期内であるもの又は保安に関する適正な余寿命評価(次回の停電年次点検までの期間(3年後までの期間))を行ったものであること。

(5)保安管理に係る体制に支障のあるものではないこと。
(例)
年次点検(停電及び無停電)の実施方法が、保安規程又は保安規程の下部規程等に定められていること。

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「4.(7)③ロの各号と同等と認められる点検」の要件

【主任技術者制度の解釈及び運用(内規) 4.(7)③イ括弧書きにおける停電点検の延伸に係る要件の明確化について】

以下(イ)から(ホ)の各号で確認すべき事項に関して、当該事項を満足している蓋然性が高いと認められる方法によるものであること。

(イ)低圧電路の絶縁抵抗が電気設備に関する技術基準を定める省令第58条で規定された値以上であること並びに高圧電路が大地及び他の電路と絶縁されていること。
絶縁監視装置による監視結果又は漏れ電流計による測定結果良好であること。また外観点検の結果(必要に応じた超音波式部分放電探査やサーモグラフィ等による過熱部位の有無の確認を含む。)が良好であること。

(ロ)接地抵抗値が電気設備の技術基準の解釈第17条で規定された値以下であること。
・簡易的測定方法による測定値に余裕をもって推測する方法。
・過去より直近までの測定値の評価及び接地設備に係る外観点検(必要に応じて端子間の導通状況の確認)をもって推測する方法。

(ハ)保護継電器の動作特性試験及び保護継電器と遮断器の連動動作試験の結果が正常であること。
・前回の停電時に実施した保護継電器単体の動作特性試験結果が良好であること。
・前回の停電時に実施した遮断器のトリップ回路の内部抵抗絶縁抵抗等の測定結果及び過熱部位の有無等の確認結果に係る測定値等の評価結果が良好であること。また、遮断器のグリスアップ等が適切な頻度で行われていること。
・前回の停電時に実施した保護継電器から遮断器までの設備(関連設備を含む)の外観点検(必要に応じて端子間の導通状況の確認)の結果が良好であること。

(ニ)非常用予備発電装置が商用電源停電時に自動的に起動し、送電後停止すること並びに非
常用予備発電装置の発電電圧及び発電電圧周波数(回転数)が正常であること。
・模擬信号等による起動及び停止と発電電圧及び発電電圧周波数(回転数)が正常であることの確認。

(ホ)蓄電池設備のセルの電圧、電解液の比重、温度等が正常であること。
・蓄電池設備のセルの電圧、電解液の比重、温度等が正常であること。

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