電験3種におけるコンデンサの静電容量、電気力線、電界の強さ、電束の本数の計算式・例題についてまとめました。
【静電容量とは】コンデンサに蓄えられる電荷量
静電容量(電気容量)とは、コンデンサに蓄えられる電荷量です。
帯電体の電位と帯電量は、以下の関係となります。
(1)
この比例定数C[F]を静電容量といい、電荷量が1Cで電位差が1Vの場合、1Fとなります。
【球状導体】静電容量、電位、電束密度、電束の総数
誘電率の空間にある点電荷Q[C]からr[m]離れた点の電位V[V]は次式で計算できます。
(2)
よって、誘電率の空間に球状導体(半径r[m])に電荷[Q]を与えたときの静電容量は以下のようになります。
(3)
電束密度
電束密度D[C/m2]とは、単位面積(1m2)当たりの電束数で、比誘電率に比例し以下の式で計算されます。
(4)
電束の総数
誘電率に関係なく、電荷Q[C]からはQの電束が出ます。
【同心球状導体】静電容量、電位、電気力線の本数、電束密度、電束の総数
同心球導体とは、同じ中心をもつ大小2つの球殻がある導体です。
外球を接地し、内球と外球の間にある空間の誘電率はとします。
内球の半径を, 外球の半径を
とするとき、内球外面の電位を
、外球内面の電位を
とすると、電位差
は次式で表されます。
(5)
したがって、同心球導体の静電容量は、次式で表されます。
(6)
電束密度
電束密度D[C/m2]とは、単位面積(1m2)当たりの電束数で、比誘電率に比例し以下の式で計算されます。
(7)
電束の総数
誘電率に関係なく、電荷Q[C]からはQの電束が出ます。
【平行導体板①通常】静電容量、電位、電気力線の本数、電束密度、電束の総数
平行導体板とは、以下のように2枚の導体板(面積)が平行にあるものです。
電気力線の本数
極板間の電場の強さをE[V/m]とし、当たりの電気力線の本数をE本とすると、極板から出る電気力線の本数はES本となります。また、ガウスの法則より、Q[C]の電荷が蓄えられたコンデンサーの極板間の電気力線の総数はQ/ε本となります。
よって、以下の関係式が成り立ちます。
(8)
電束密度
電束密度D[C/m2]とは、単位面積(1m2)当たりの電束数で、誘電率に比例し以下の式で計算されます。
(9)
電束の総数
誘電率に関係なく、電荷Q[C]からはQの電束が出ます。
電位差
「Q/ε=ES」と「V=Ed」より電位差は以下の式になります。
(10)
静電容量
上式をQとVの関係式に変換します。
(11)
Q=CVより静電容量は以下のようになります。
(12)
【平行導体板②2つの誘電体が並列】静電容量、電位、電気力線の本数、電束密度、電束の総数
同じ寸法の直方体で誘電率の異なる2つの誘導体(誘電率ε1、ε2)が平行板コンデンサに充填されている。
極板間は一定の電圧V[V]と電界Eに保たれ2つの極板にはそれぞれ+Q[C], -Q[C]の電荷が蓄えられている。
2つの誘電体それぞれの静電容量C1,C2は以下のようになる。
(13)
全体の静電容量Cは以下のようになる。
(14)
電気力線の本数
2つの誘電体それぞれの面を貫く電気力線の総数は
となる。
※面積が同じであれば電気力線の総数も等しくなる(誘電体の比誘電率に依存しない)。
電束密度
電束密度(D=εE)は誘電率ε1、ε2に比例するため同じにならない。それぞれの電束密度D1、D2は以下の式で計算できる。
(15)
電束の総数
誘電率に関係なく、電荷Q[C]からはQの電束が出ます。
【平行導体板③3つの誘電体が直列】静電容量、電位、電気力線の本数、電束密度、電束の総数
同じ寸法の直方体で誘電率の異なる3つの誘導体(誘電率ε1、ε2、ε3)が平行板コンデンサに充填されている。
極板間は一定の電圧V[V]と電界Eに保たれ2つの極板にはそれぞれ+Q[C], -Q[C]の電荷が蓄えられている。
3つの誘電体それぞれの静電容量C1,C2, C3は以下のようになる。
(16)
全体の静電容量Cは以下のようになる。
(17)
電気力線の本数
3つの誘導体それぞれを貫く電気力線の総数はとなり等しい。(直列だと面積
は同じで、比誘電率に依存しないため)。
電束密度
電束密度(D=εE)は誘電率ε1、ε2、εに比例するため、それぞれの誘電体で異なる。それぞれの電束密度D1、D2、D3は以下の式で計算できる。
(18)
電束の総数
比誘電率に関係なく、電荷Q[C]からはQの電束が出ます。


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