【LIC】リチウムイオンキャパシタとは?原理・特徴・用途・メーカー

LIC(リチウムイオンキャパシタ)とは?原理・特徴・用途・メーカーなどについてまとめました。

## 【リチウムイオンキャパシタとは】特徴

リチウムイオンキャパシタとは、リチウムイオンを活用し、電気二重層キャパシタのエネルギー密度を向上させたものです。

特徴
1 リチウムイオン二次電池と比べ、熱暴走を起こしにくく安全性が高い。
2 電流の出力密度、寿命、メンテナンスも電気二重層キャパシタと同等に優れている。
3 電気二重層キャパシタよりも、エネルギー密度が高く、高温特性に優れ、自己放電は小さい。
4 「価格が高い」「下限電圧に制限がある」「過放電が進むとセルが劣化するため、電圧監視用の制御回路が必要」という欠点がある。

## 【原理・比較】リチウムイオンキャパシタと他の電池

正極と負極の原理が異なる非対称キャパシタの一種で、正極材料は活性炭(電気二重層キャパシタと同じ)、負極材料は炭素(リチウムイオン電池と同じ)を利用しています。そのため、正極が電気二重層を形成し物理的な作用で充放電するのに対し、負極はリチウムの化学反応によって充放電します。
セル電圧と負極の静電容量が増加するため(リチウムプレドープによってセル電圧を4V程度まで上昇可能。セル内のエネルギーは電圧の2乗に比例するため、結果的にエネルギー密度も上昇します。また、リチウムをプレドープされた負極は、従来の電気二重層キャパシタで主に使用されている活性炭と比べて数十倍程度の静電容量を保有しているため、セル内の全体の静電容量は理論上最大約4倍にまで増加し、その分セルのエネルギーは高まるため、電気二重層キャパシタよりもエネルギー密度が高くなります。

項目 リチウムイオンキャパシタ 電気二重層キャパシタ リチウムイオン電池 鉛蓄電池
エネルギー密度 △(高出力時は◯)
出力密度 △(急速充放電が課題)
充電性能 秒単位の充放電が可能 秒単位の充放電が可能 充電に時間を要する(充電管理が必要) 充電に時間を要する(リフレッシュ充電が必要)
内部抵抗 低い 低い 高い 非常に高い
低温特性
高温特性
自己放電
保守性 メンテナンスフリー メンテナンスフリー 保守管理が不可欠 保守管理が不可欠
寿命(フロート、サイクル) ☓(突然死あり)
安全性 ☓(自己発熱、発火有)
可燃性
用途 高出力(中エネルギー) 高出力(低エネルギー) 中出力(高エネルギー) 低出力(高エネルギー

リチウムイオン電池では、正極に金属酸化物を使用するため、異常時にセル温度が上昇すると正極材料が熱分解することで酸素が放出され、熱暴走反応が起きる可能性があります。
一方、LIC(リチウムイオンキャパシタ)は正極材料が活性炭なので、異常時の短絡などによる発熱はありますが、熱暴走反応が起こることはなく、安全性が高いです。

## 【販売メーカー】太陽誘電、JMエナジーなど

2019年現在
1 太陽誘電(昭栄エレクトロニクス)
2 JMエナジー(JSRグループ)
参考文献・関連ページ
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電気・電子工学
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