【電験3種・理論】三相誘導電動機とは?極数・同期速度の計算式

三相誘導電動機の極数と同期速度の計算式について解説します。

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三相誘導電動機の用語と同期速度の計算式

用語 概要
誘導電動機(誘導モータ) 固定子の一次巻線(導体)に交流電流を流すと、固定子から磁界が生じる(この磁界を「回転磁界」という)。そして、電磁誘導により回転子に誘導電流が発生し、滑りに対応した回転トルクが発生します。この回転トルクを動力として、回転子が回転する。つまり、電磁誘導の原理を用いた電動機(モータ)。
三相誘導電動機(三相誘導モータ) 三相交流によって回転子を回転させる誘導電動機。「かご型三相誘導電動機」「巻線型三相誘導電動機」などの種別がある。
極数 固定子の巻線(導体)に交流電流を流したときに生じる回転磁界中に存在する磁極数(誘導電動機のカタログで2P、4Pなどと記載されているのは、2極、4極という意味)。N極とS極が1組生じる誘導電動機の場合、極数は2極(2P)となる。
同期速度Ns 回転磁界の速度。「回転磁界の速度」と「回転子の回転速度Nr」が一致することを同期という。回転子の回転速度Nrが大きくなるほど(同期速度Nsに近づくほど)、固定子の一次巻線(導体)を直角に通過する回転磁界の回数が減少し、回転子は磁界変化を追うように回転するため、回転速度Nが大きくなるほど見かけ上、磁界変化が減少する)、誘導電流が小さくなり、回転トルクも小さくなるため、回転速度Nrは同期速度No以下となる(「回転磁界の速度」と「回転子の回転速度Nr」の速度差があるほど誘導起電力が大きくなり、回転トルクも大きくなる)。
滑り速度 Ns-Nr・・・同期速度と回転速度の差
滑り (Ns-Nr)/Ns・・・滑り速度を同期速度で割ったもの。前述のとおり、NrはNs以下となるため、誘導電動機の滑りは0以上かつ1未満の値となる。

同期速度Ns[r/sec]は次式で求められる。

(1)   \begin{eqnarray*} N_s=\frac{2f}{p} \end{eqnarray*}

pは極数、fは電源の周波数。
同期速度Nsを秒速[r/s]から分速[rpm, r/min]に直すと以下のようになる。

(2)   \begin{eqnarray*} N_s=\frac{120f}{p} \end{eqnarray*}

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【計算式の導出】同期速度

三相誘導電動機の極数をp、電源の周期をT[sec]とする。このとき、回転磁界は電源1周期の間に2/pだけ回転する。よって、同期速度は次式で計算される。

(3)   \begin{eqnarray*} N_s=\frac{2/p}{T} \end{eqnarray*}

電源の周波数fは周期Tの逆数(f=1/T)なので、以下の式が成立する。

(4)   \begin{eqnarray*} N_s=\frac{2f}{p} \end{eqnarray*}

つまり、同期速度と周波数は比例関係にあり、電源の周波数が高いほど回転速度も大きくなる。
東日本だと電源周波数は50Hz、西日本だと60Hzであるので、西日本の電源に接続したときのほうが回転速度が大きくなる(電源と誘導電動機の間に周波数を変換する機器等が無い場合)。

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コメント

  1. 山村 より:

    NとPが一個ずつ 1対で2極 2Pではありませんか?

  2. 米岡 より:

    『【同期速度】計算方法』の下にある表ですが、全面的に修正されることをお願い申し上げます。
    理由は、学生が実験報告書を作成するたびに貴Webページを参照し、間違った記述を鵜呑みにしており正しい知識に修正するために多大の時間と労力を強いられています。なにとぞお願い申し上げます。

    『三相得誘導電動機』 回転子を3つの交流電流を使って回転させ、動力を得る機器を三相得誘導電動機と呼びます。
    ・「三相誘導電動機」に修正してください。
    ・3つの交流電流を使って動力を得る機器がすべて「誘導電動機」ですか?回転子をどのような原理によって回転させるか説明が必要です。

    『回転磁界』 この3つの交流電流を三相誘導電動機に流すと、回転する磁界が発生します。これを回転磁界と呼びます。回転子は回転磁界に引きずられることで回転します。
    ・「この3つの交流電流」→「この」は不要。文脈としてどこにも関連がない。
    ・「交流電流を三相誘導電動機に流すと」三相誘導電動機のどこへ流すか説明がない。「三相交流電源を固定子内の一次巻線に与える(印加する)ことで回転磁界が発生する」
    ・「引きずられる」とは具体的にどういう原理か説明が必要です。

    『極数』 極数とは、三相得誘導電動機内にある永久磁石の対の個数です(例えばNとS極が1個ずつあれば極数は2です)
    ・「三相誘導電動機」に修正してください。
    ・いろいろ勘違いなさっておられるようです。そもそも『極数』の説明」ではありません。極数は回転磁界中に存在する磁極数のことです。さらに、誘導電動機に永久磁石は使用しません。誘導電動機は電磁誘導により回転子内部に渦電流を流し、その結果、発生する回転力を動力として利用するものです。
    ・回転子内部に永久磁石を使用する電動機としてPMモーター(永久磁石モータ)がありますが、誘導機同様に固定子内の一次巻線に電源を印加することで固定子内に回転磁界が発生します。この回転磁界中に含まれる磁極数が磁極です。

    『同期速度』 同期速度とは回転磁界により「回転子が回転する速度」のことです。
    ・そもそも同期速度は「回転子が回転する速度」のことではありません。固定子内部の一次巻線に発生する回転磁界の回転速度が同期速度です。

    以下は参考です。

    ※誘導電動機の回転磁界の同期速度Noに対し運転中(負荷の有無に関係なし)の回転子の回転速度Nの関係はNo>Nです。理由は誘導電動機の回転原理が電磁誘導を利用した渦電流による回転力に頼っているためです。
    ※PMモータの回転磁界の同期速度Noに対し運転中(定格負荷の範囲)の回転子の回転速度Nの関係はNo=Nです。回転磁界の磁極と回転子内に組み込まれた永久磁石の磁極が吸い寄せられ、同期運転するよう設計されるためです。過負荷では磁力の吸引力の限界を超えるため同期がとれなくなり「脱調」を起こします。

    以上

    • 管理人 より:

      丁寧にご指導くださりありがとうございます。
      仰るとおり、誤りが多々ございましたので、見直して修正しました。