【電験3種】電力分野「送電線路」の仕組み

電験3種の電力分野で出題される「送電線路」の仕組みについてをまとめました。

送電線路と配電線路の違い

種別 概要
送電線路 発電所〜変電所、変電所〜変電所の間の電線路のこと。
配電線路 変電所〜需要家(会社、工場、住宅)の間の電線路のこと。

架空送電線路の基本構成

ケーブルに発生する損失

種別 概要
抵抗損 導体の抵抗で発生する損失(導体に流れる電流の2乗に比例)。
誘電体損 ケーブル(コンデンサを巻いたような形状)の絶縁体に流れる電流による損失。この絶縁体(誘電体)が劣化すると、抵抗が大きくなるため、損失が増加する。
シース損 ケーブルシース(金属)に流れる電流(循環電流、渦電流)による損失。
表皮効果 導体内を流れる交流電流により発生した磁界により渦電流が発生し、導体内の電流分布が外側に集中する現象。電線の断面積が大きいほど、渦電流も大きくなり対策が必要となる。
コロナ損 送電線に高電圧が印加され、「電線表面の電界強度」がある程度以上になると、電線からコロナ放電が発生する。コロナ放電が発生するとコロナ損と呼ばれる電力損失が生じる。コロナ放電の発生を抑えるために、電線の実効的な直径を大きくするために「多導体化する」「線間距離を大きくする」などの対策がある。コロナ放電は、気圧が低いほど生じやすい。

素材の種類

送電線に用いられる「硬銅より線」「鋼心アルミより線」の主な違いは以下のとおり。

項目 硬銅より線 鋼心アルミより線
導電率 ◎(90%台) △(60%台)
引張強さ
重量 △(重い) ◎(軽量)
外径(風圧荷重)
コロナ放電
コスト

多導体、単導体

種別 概要
多導体方式 3相3線式送電線で、1相あたり電線2本以上で送電する。送電容量を増やすことができ、コロナ放電が発生しにくいが、サブスパン振動が発生したり、建設コストが増加する。1相に複数の電線を「スペーサ」を用いて適度な間隔に配置したものを多導体と呼ぶ。主に超高圧以上の送電線に用いられる。多導体を用いることで、電線表面の「電位の傾きが小さく」 なるので、「コロナ開始電圧が高く」 なり、送電線のコロナ損失、雑音障害を抑制できる。多導体は合計断面積が等しい単導体と比較すると、「表皮効果が小さい」。また、送電線の「静電容量が減少」するため、送電容量が増加し系統安定度が向上する。
単導体方式 3相3線式送電線で、1相あたり電線1本で送電する。

送電鉄塔

用語 概要
ねん架 送電線各相の作用インダクタンスと作用静電容量を平衡させるために、ジャンパ線を用いて電線の位置を入れ替えることで、各相の離隔距離が異なることにより生じる、三相不均衡を防ぐ方法。
鉄塔 一般的に66kV以上の架空送電線の支持物に用いられる。
碍子 電線と支持物を絶縁するための絶縁体。絶縁性が高く耐久性にも優れた陶磁器や樹脂で作られたものがある。
耐塩碍子 ひだが深い(表面距離が長い)、漏れ電流がより流れにくい碍子。撥水性物質を塗布したり、定期的な洗浄による塩分の除去なども塩害対策として行われる。
架空地線 鉄塔の最上部に張られる線で、直撃雷、誘導雷を防止する接地線、電磁誘導障害を軽減する役割をしている。
埋設地線 鉄塔と大地を接続する接地線。鉄塔の接地抵抗を下げることで、落雷時の雷電流が大地へ流れ、逆フラッシオーバーを防止する。
フラッシオーバー 送電線に異常電圧が発生したり、碍子の絶縁劣化で送電線から鉄塔へ放電し、大地へと電流が流れる現象。
逆フラッシオーバー 落雷時に碍子が絶縁破壊し、雷電流が送電線へ流れる現象。フラッシオーバーとは電流の流れる方向が逆。
地中送電線の利点 ・都市景観が保たれる。
・気象要因の事故が少なく、近傍の通信線に与える静電誘導,電磁誘導の影響も少ない。
・露出充電部が少ないので,感電や火災の危険性が低い。
地中送電線の欠点 ・建設費が高い。
絶縁破壊等の事故箇所の特定が難しく、復旧に時間がかかる(架空の場合、雷などによる一時的な絶縁破壊が多く自然回復することが多い)。
・放熱性が低く、同じ太さの導体でも送電容量が小さくなる。
・ケーブルの場合静電容量が数10倍あるため、充電電流が大きい。
外径(風圧荷重) 外径が大きいほど、風を受ける面積も大きくなるため、風圧荷重が大きくなってしまう。
コロナ放電 架空送電線は、裸電線なので、絶縁体は空気のみである。気温等により空気の絶縁性能が低下すると、裸電線の表面からがいしや金具等に対して放電が生じ、これを「コロナ放電」という。硬銅より線は、コロナ放電が発生しやすい。
ギャロッピング 電線に非対称な氷雪が付着し肥大化すると、微風振動と同様に電線の風下側にカルマン渦が生じ振動する現象。
がいしの塩害対策 がいし表面に塩分が付着すると、漏れ電流が発生し、可聴雑音、電波障害、フラッシオーバの原因となる。がいしの塩害対策は、塩害の少ない送電ルートの選定、がいしの絶縁性能を強化、がいしの洗浄、がいし表面への撥水性物質の塗布などがある。懸垂がいしの絶縁強化を図るには,がいしを直列に連結する個数を増やしたり、がいしの表面漏れ距離を長くする方法などがある。長幹がいし(棒状磁器の両端に連結用金具を取り付けた形状)は、懸垂がいしに比べて雨洗効果が高く、塩害に対し絶縁性が高い。
微風振動 電線に対して微風が吹くと、電線の背後に空気の渦が生じて電線が上下に振動するが発生する。振動エネルギーを吸収するダンパを電線に取り付けて、この振動による電線の断線防止が図られている。
スペーサを用いた多導体化 超高圧の架空送電線でコロナ放電の抑制に用いられている。スペーサはギャロッピングの防止にも効果的である。
アークホーン 架空送電線を鉄塔などに固定する絶縁体としてがいしが用いられている。アークホーンをがいしと併設し、雷撃等をきっかけに発生するアーク放電から碍子が破壊しないよう保護できる。
架空地線 架空送電線への雷撃を防止するために設けられている。遮へい角が小さいほど雷撃防止の効果が大きい。鉄塔又は架空地線に直撃雷があると,鉄塔から送電線へ逆フラッシオーバが起こることがある。埋設地線等により鉄塔の接地抵抗を小さくすることで、逆フラッシオーバの抑制が図られている。
架空送電線路の線路定数 抵抗,作用インダクタンス,作用静電容量,漏れコンダクタンスがある。抵抗値は,表皮効果により交流のほうが増加する(周波数の増加に伴い電線導体内の電流分布が表面に偏る現象のため)。線間距離Dと電線半径rの比D/rが大きいほど、作用インダクタンスは大きくなり、作用静電容量は小さくなる。作用静電容量を無視できない中距離送電線路では,作用静電容量によるアドミタンスを 1 か所又は 2 か所にまとめる集中定数回路が近似計算に用いられる。このとき,送電端側と受電端側の 2 か所にアドミタンスをまとめる回路をπ形回路という。
鋼心アルミより線 アルミ線を使用することで質量を小さくし、強度不足を鋼心で補ったもの。

地中送電線の埋設方式

種別 直接埋設式 管路式 暗きょ式
概要  コンクリートトラフにケーブルを入れて埋設する方式 穴を空けたコンクリート内にケーブルを布設する方式 コンクリートのトンネル内にケーブルを布設する方式
工事の難易度
工費
放熱性(許容電流)
保守点検
備考 ・作業を行うために、再度掘り返す必要がある
事故復旧に時間がかかる
 ・ガス水道や通信線の管等も共同で敷設できる

【計算例】送電線路の損失

項目 概要
送電線路の損失 送電線路の損失
フェランチ効果 負荷が軽い深夜帯などに、受電端電圧が送電端電圧より上昇する現象です。
【電験3種】電力分野の頻出項目、攻略法、例題
電験3種における電力分野(発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料に関するもののポイントをまとめました。
【電験3種とは】出題範囲と対策まとめ
電験三種とは?出題範囲と対策まとめについてまとめました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました