【合成インダクタンスとは】和動接続、差動接続の違いと計算方法・過去問【電験3種・理論】

合成インダクタンスとは?和動接続、差動接続の違いと計算式と計算問題について解説します。

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合成インダクタンスの計算(和動接続、差動接続)

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  • 上図のようなトランスにおいて、2つのコイルが磁気的に結合して巻かれている時、合成インダクタンスは以下の式で求まります。

$L=L_1+L_2\pm 2M$

  • $L_1, L_2$はそれぞれコイル$A, B$の自己インダクタンス、$2M$は相互インダクタンスです。
  • 相互インダクタンス$M$は以下の式で計算できます。

$M=k\sqrt{L_1L_2}$

  • $k$は結合係数と呼ばれ、$0\leq k \leq 1$となります。

  • 合成インダクタンスの計算式を使うときに注意するのは、$M$の前についている符号です。

  • この符号は、「コイル$A, B$に同じ向きの電流を流した時の磁束(磁力線)の方向」で決まります。
条件 符号
磁束(磁力線)の向きが同じ 符号は+(和動接続=磁束が強め合う)
磁束(磁力線)の向きが逆 符号は-(差動接続=磁束が弱め合う)
  • 磁束(磁力線)の向きは「右手親指の法則」で簡単にわかります。そのため、合成インダクタンスを計算するときは、コイルの巻き方向に注意する必要があります。
    ちなみに上記の図の場合、端子$A,B$に直流電圧を加えると2つのコイルの磁束(磁力線)の向きが異なるため差動接続となります。
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【例題1】コイルの自己インダクタンスと相互インダクタンスの計算

【問題】

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図のような環状鉄心に巻かれたコイルについて、

  • 端子1−2間の自己インダクタンス$L_{12}$が40mH
  • 端子3−4間の自己インダクタンスが10mH
  • 端子2と3を接続した状態での端子1−4間のインダクタンスが$L_{14}=86mH$

であったとき、端子1−2間のコイルと端子3−4間のコイルとの間の結合係数$k$を求めよ。

【解答】

  • 端子 1−2 間の自己インダクタンスを$L_{12}=40$[mH]、端子3−4間の自己インダクタンスを$L_{34}=10[mH]$とおくと、相互インダクタンス$M$は以下のとおり。

$M=k\sqrt{L_{12}L_{34}}=k\sqrt{40\cdot 10}=20k$

  • 端子2と3を接続した状態は和動接続となるため、合成インダクタンス$L_{14}$は以下のとおり。

$L_{14}=L_{12}+L_{34}+ 2M = 40+10+20k=86$

$k = 0.9$

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【例題1】コイルの合成インダクタンスの計算

【電験3種 理論 平成29年度 問題3】

環状鉄心に、コイル1及びコイル2が巻かれている。
二つのコイルを図1のように接続したとき、端子 A−B 間の合成インダクタンスの値は 1.2 H であった。
次に、図2のように接続したとき、端子 C−D 間の合成インダクタンスの値は 2.0 H であった。
このことから、コイル1の自己インダクタンス の値 [H] 、コイル1及びコイル2の相互インダクタンス の値 [H] を求めよ。
ただし,コイル1及びコイル2の自己インダクタンスはともに [H]、その巻数を とし,また,鉄心は等断面、等質であるとする。

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【解答】

  • 図1は差動接続で、そのときの合成インダクタンスが$1.2[H]$なので以下の式が成立する。

$L=L_1+L_2-2M$

$1.2 = L+L-2M$

$0.6 = L-M$・・・①

  • 図2は和動接続で、そのときの合成インダクタンスが$2.0[H]$なので以下の式が成立する。

$L=L_1+L_2+2M$

$2 = L+L+2M=$

$1 =L+M$ ・・・②

  • ①②の連立方程式を解くと$L=0.8, M=0.2$と求まる。
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