【電験3種】法規・「電気関係報告規則」での「事故報告」の攻略ポイント

電験3種試験における法規・「電気関係報告規則」での「事故報告」の攻略ポイントについてまとめました。

【電気関係報告規則 第3条】事故報告

電気関係報告規則とは, 電気事業法の規定に基づいて, 経済産業大臣が制定した命令(省令)の1つです。
電気事業法 第106条, 電気関係報告規則 第3条で, 電気工作物で事故が発生したときは, 「電気事業者」or「自家用電気工作物の設置者」は管轄エリアの産業保安監督部長に報告を行う必要があります.

種別 概要
電話等での報告(24時間以内) 事故発生(感電死傷、電気火災など)を知った時から「24時間以内」可能な限り速やかに、事故の「発生日時」「場所」「事故が発生した電気工作物」「事故の概要」について、「電話」などで「産業保安監督部長」に報告する必要があります。
報告書の提出(30日以内) 事故の発生を知った日から起算して30日以内に報告書を提出する必要があります。

例えば, 関東東北産業保安監督部の管轄エリアにある電気工作物で事故が発生した場合, 関東東北産業保安監督部長へ電子メール、電話、FAX等で報告する義務があります。 その後、事故発生を知った日から起算して30日以内に事故原因や再発防止策などを記載した報告書(詳報)を作成して提出する義務があります。

【電気事故】報告が必要なもの

報告が必要な主な事故は以下のとおりです(関東東北産業保安監督部HPより引用)。

1 感電又は破損事故若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(治療のため入院した場合に限る。)
2 電気火災事故(工作物にあっては、その半焼以上(20%以上)の場合に限る。)
3 主要電気工作物の破損事故
4 電気事業者に供給支障を発生させた事故(波及事故)

具体的には, 「電気関係報告規則 第3条」と「電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について(内規)」に記載されています。

【電気関係報告規則】

(事故報告)
第3条 電気事業者(法第三十八条第四項各号に掲げる事業を営む者に限る。以下この条において同じ。)又は自家用電気工作物を設置する者は、電気事業者にあつては電気事業の用に供する電気工作物(原子力発電工作物を除く。以下この項において同じ。)に関して、自家用電気工作物を設置する者にあつては自家用電気工作物((省略))に関して、次の表の事故の欄に掲げる事故が発生したときは、それぞれ同表の報告先の欄に掲げる者に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の欄に掲げる者が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。

事故 報告先(電気事業者) 報告先(自家用電気工作物を設置する者)
1 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。) 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
2 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。) 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
3 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
4 次に掲げるものに属する主要電気工作物の破損事故
イ 出力90万kW未満の水力発電所
ロ 火力発電所(汽力、ガスタービン(出力1000kW以上のものに限る。)、内燃力(出力1万kW以上のものに限る。)、これら以外を原動力とするもの又は二以上の原動力を組み合わせたものを原動力とするものをいう。以下同じ。)における発電設備(発電機及びその発電機と一体となつて発電の用に供される原動力設備並びに電気設備の総合体をいう。以下同じ。)(ハに掲げるものを除く。)
ハ 火力発電所における汽力又は汽力を含む二以上の原動力を組み合わせたものを原動力とする発電設備であつて、出力1000kW未満のもの(ボイラーに係るものを除く。)
ニ 出力500kW以上の燃料電池発電所
ホ 出力50kW以上の太陽電池発電所
ヘ 出力20kW以上の風力発電所
ト 電圧17万V以上(構内以外の場所から伝送される電気を変成するために設置する変圧器その他の電気工作物の総合体であつて、構内以外の場所に伝送するためのもの以外のものにあつては10万V以上)30万V未満の変電所(容量30万kVA以上若しくは出力30万kW以上の周波数変換機器又は出力10万kW以上の整流機器を設置するものを除く。)
チ 電圧17万V以上30万V未満の送電線路(直流のものを除く。)
リ 電圧1万V以上の需要設備(自家用電気工作物を設置する者に限る。)
電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
5 次に掲げるものに属する主要電気工作物の破損事故(第一号、第三号及び第八号から第十号までに掲げるものを除く。)
イ 出力90万kW以上の水力発電所
ロ 電圧30万V以上の変電所又は容量30万kVA以上若しくは出力30万kW以上の周波数変換機器若しくは出力10万kW以上の整流機器を設置する変電所
ハ 電圧30万V(直流にあつては電圧17万V)以上の送電線路
経済産業大臣 経済産業大臣
6 水力発電所、火力発電所、燃料電池発電所、太陽電池発電所又は風力発電所に属する出力10万kW以上の発電設備に係る7日間以上の発電支障事故 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
7 供給支障電力が7000kW以上7万kW未満供給支障事故であつて、その支障時間が1時間以上のもの、又は供給支障電力が7万kW以上10万kW未満の供給支障事故であつて、その支障時間が10分以上のもの(第九号及び第十一号に掲げるものを除く。) 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
8 供給支障電力が10万kW以上の供給支障事故であつて、その支障時間が10分以上のもの(第十号及び第十一号に掲げるものを除く。) 経済産業大臣
9 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより他の電気事業者に供給支障電力が7000kW以上7万kW未満の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が1時間以上のもの、又は供給支障電力が7万kW以上10万kW未満の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が10分以上のもの 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
10 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより他の電気事業者に供給支障電力が10万kW以上の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が10分以上のもの 経済産業大臣
11 一般送配電事業者一般送配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3000V以上自家用電気工作物破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故[電験3種 R2法規 問11出題]詳細と例題はこちら 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
12 ダムによつて貯留された流水が当該ダムの洪水吐きから異常に放流された事故 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
13 第一号から前号までの事故以外の事故であつて、電気工作物に係る社会的に影響を及ぼした事故 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長

2 前項の規定による報告は、事故の発生を知つた時から24時間以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所、事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について、電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知つた日から起算して30日以内に様式第十三の報告書を提出して行わなければならない。ただし、前項の表第4号ハに掲げるもの又は同表第7号から第12号に掲げるもののうち当該事故の原因が自然現象であるものについては、同様式の報告書の提出を要しない

つまり、上記表に該当する事故が発生した場合、速報(24時間以内)報告書提出(30日以内)が必要となります。
例外として、第4号ハ(火力発電所の主要電気工作物の破損事故)、第7号から第12号(供給支障事故、ダム放流の事故)のうち雷や台風等の自然現象が原因で発生した場合は、速報(24時間以内)のみ必要となります。

【補足】主要電気工作物の破損事故

電気関係報告規則に記載されている 「主要電気工作物の破損事故」の定義は以下のとおりです。

【電気関係報告規則 第1条 第2項 第7号】

七 「主要電気工作物の破損事故」とは、別に告示する主要電気工作物を構成する設備の破損事故が原因で、当該主要電気工作物の機能が低下又は喪失したことにより、直ちに、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること又はその使用が不可能となり、若しくはその使用を中止することをいう。

また、「電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について(内規)」で、その解釈が以下のとおり記載されています。

(2)語句・文章の解釈
① 「主要電気工作物」:規則第1条第2項第4号に掲げているものをいい、主要電気工作物を構成する設備を定める告示の「主設備」から構成されている。

② 「破損事故」:規則第1条第2項第6号に掲げるものをいい、電気工作物が変形、損傷若しくは破壊、火災又は絶縁劣化若しくは絶縁破壊が原因で、当該電気工作物の機能が低下又は喪失したことにより、「直ちに、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること」又は「その使用が不可能となり、若しくはその使用を中止すること」をいう。

③ 「直ちに、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること」:
例えば、電気工作物の機能低下が、運転中において想定されている機能低下の範囲を超えて急激に起きた場合であって、当該電気工作物の自動停止機能により運転が自動停止した場合又は緊急に手動停止した場合をいい、例えば以下の事故が挙げられる。
イ 落雷による太陽電池又はその附属設備の焼損
ロ 逆変換装置等の損傷に伴う運転停止

④ 「その使用が不可能となり、若しくはその使用を中止すること」:例えば、以下の事故が挙げられる。
イ 太陽電池モジュールの半壊以上の損壊
具体的には、破損の程度が太陽電池モジュール面積の20%以上であること(内閣府の「災害に係る住宅等の被害認定基準検討委員会」で検討された「災害の被害認定基準について(平成13年6月28日府政防第518号)」の半壊に準ずる。)。
ロ 太陽電池発電設備の支持物の損傷による架台の倒壊
ハ 水没による太陽電池モジュールや逆変換装置等の損傷に起因する太陽電池発電設備の停

ニ 風車のブレードの折損
ホ 風車の支持物の倒壊

「主要電気工作物を構成する設備」の定義は「主要電気工作物を構成する設備を定める告示」に記載されています。つまり、この告示の条件を満たす設備が破損した場合、事故報告の対象となります。

【補足】小出力発電設備の「太陽電池発電設備(出力10kW以上)」「風力発電(出力20kW以上)」も報告対象に

小出力の太陽電池発電設備でも事故が多発しており、「電気関係報告規則 第3条の2」では、2021年4月1日から電気事業法第38条第2項で定める小出力発電設備のうち、太陽電池発電設備(10kW)や風力発電(出力20kW以上)も報告対象になっています。
例えば、2018年には小出力の太陽電池発電設備崩落による影響で山陽新幹線が一時運転となる事象が発生しています。

経産省のホームページで詳細なQ&A集が公表されています。

【例題】事故報告に該当するか否か

事象 解説
① 低圧で電力会社の系統と連携する太陽電池発電設備(出力30kW)において、PCS(出力30kW)が破損し、異常停止により発電を停止した 「電気関係報告規則 第3条の2」と「主要電気工作物を構成する設備を定める告示 第4号の2」より、太陽電池発電設備(出力10kW以上、50kW未満)の場合、太陽電池モジュール(10kW以上)、支持物、逆変換装置(10kVA以上のPCSなど)などが破損すると、「一般用電気工作物に属する主要電気工作物の破損事故」に該当するため報告対象となる
② 高圧で電力会社の系統と連携する太陽電池発電所(出力60kW)において、PCS6台(合計出力60kW)のうちPCS4台(40kW)が破損し、異常停止により発電を停止した 「電気関係報告規則 第3条」と「主要電気工作物を構成する設備を定める告示 第4号」より、太陽電池発電所(出力50kW以上)の場合、太陽電池モジュール(50kW以上)、支持物、逆変換装置(50kVA以上のPCSなど)などが破損すると、「主要電気工作物の破損事故」に該当するため報告対象となる。今回破損したPCS4台の合計出力は40kWであり、報告対象の条件である50kVAを下回っているため報告対象外
③ 高圧で受電する工場の屋上に設置された太陽電池発電設備(出力20kW)において、PCS(出力20kW)が破損し、異常停止により発電を停止した 高圧受電設備であるため、50kW未満の太陽電池発電設備であっても事業用電気工作物扱いとなる。よって、「電気関係報告規則 第3条」と「主要電気工作物を構成する設備を定める告示 第4号」より、太陽電池発電所(出力50kW以上)の場合、太陽電池モジュール(50kW以上)、支持物、逆変換装置(50kVA以上のPCSなど)などが破損すると、「主要電気工作物の破損事故」に該当するため報告対象となる。破損したPCSの出力は20kWであり、報告対象の条件である50kVAを下回っているため報告対象外
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