【許容応力度設計とは】長期許容応力度、中期許容応力度、短期許容応力度の違い

許容応力度とは?使用する材料との違いについて紹介します。

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【許容応力度設計とは】

構造物を設計する際には、外力に対して部材が完全な弾性体に近い状態で使用し、永久変形が生じないようにしなければなりません。そのためには、使用する部材の強さに応じて、外力の影響で構造物の各部位に生じる応力度を制限する必要があります。この限度が許容応力度となります。つまり、構造物を構成する各部材の強さが応力度を上回るように設計します。

許容応力度計算の基本的な手順は以下のとおりです。

手順 概要
①外力の設定 構造物にどのような外力が作用するか設定する。構造物の自重(各部材や構造物の中にある物など)、風圧荷重(風が強い場所かどうか、風を受ける面積はどのくらいか等)、地震力(地盤が硬いか、構造物が硬いかなど)など
②応力(応力度)の計算 設定した外力により、各部材に生じる応力(応力度)を計算します。
③応力度<許容応力度の確認 部材(コンクリートや鉄など)の種類によって、「許容応力度(応力度がこれより小さければ永久変形=破損しない)」が決まっています。つまり、各部材に生じる応力度が許容応力度以下であれば永久変形=破損しないことが確認できます。

「応力」とは、建物の各部に生じている力の大きさです。単位面積あたりに生じている応力の大きさを「応力度」といいます。
よって、「許容応力度」とは、その材料が「許容」できる「応力度」といえます。

許容応力度にもいくつか種類があります。力の作用する時間が長いか短いかによる分類では、長期許容応力度、中期許容応力度、短期許容応力度があります。

種別 概要
長期許容応力度 建物に長期に作用する応力度(重力、積雪地帯では積雪などの作用)に対する許容。
中期許容応力度 建物に中期に作用する応力度(建物を施工する際の仮設の部材などに作用)に対する許容。
短期許容応力度 建物に短期に作用する応力度(地震(数分)、台風の風(1時間)などの作用)に対する許容。

一般的に短期許容応力度は長期許容応力度よりも大きな値(1.5倍や2倍など)となります。
これは、常に作用し続ける力に対しては、大きく余裕を持っておく必要があるということです。
中期許容応力度は、工事期間中の数か月しか使用しないため、「長期許容応力度ほど余裕をもつのはコスト的に勿体ない」ということで長期許容応力度の1.25倍など、長期と短期の中間の値が採用されることが多いです。

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【鋼材・アルミニウム合金】長期許容応力度、短期許容応力度

鋼材・アルミニウム合金の基準強度F[N/mm2]の長期許容応力度、短期許容応力度は日本建築学会「鋼構造設計規準」 で定められている以下の計算式が用いられることが一般的です。

応力度[N/mm2] 長期(L) 短期(S)
許容引張応力度ft F/1.5 長期の1.5倍
許容圧縮応力度fc F/1.5 長期の1.5倍
許容曲げ応力度fb F/1.5 長期の1.5倍
許容せん断応力度fs F/(1.5・√3) 長期の1.5倍
許容支圧応力度fp F/1.1 長期の1.5倍
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