【風圧力とは】速度圧、風力係数、建物の風荷重の計算方法

許容応力度とは?使用する材料との違いについて紹介します。

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【1】速度圧の計算

速度圧qは、建物の高さや周辺状況による影響係数(ガスト影響係数)をE、基準風速をVoとすると、以下の式で計算されます。

(1)   \begin{eqnarray*} q=0.6EVo^2\\ E=Er^2G_f \end{eqnarray*}

基準風速Voは、各地方によって異なる平均風速のことです。
Erは平均風速の高さ方向の係数、Gfはガスト影響係数といいます。
要は周辺状況による影響を考慮した値です。

ガスト影響係数Gfは下表で決まります。

地表面粗度区分 (1)10m以下の場合 (2)10mを超え40m未満の場合 (3)40m以上の場合
Ⅰ(平坦で障害物なし) 2.0 (1)及び(3)に掲げる数値を直線的に補完した数値 1.8
2.2 (1)及び(3)に掲げる数値を直線的に補完した数値 2.0
Ⅲ(Ⅰ、Ⅱ又はⅣ以外) 2.5 (1)及び(3)に掲げる数値を直線的に補完した数値 2.1
Ⅳ(都市化が激しい) 3.1 (1)及び(3)に掲げる数値を直線的に補完した数値 2.3

Erは次式で計算できます。

① H≦Zb以下の場合

(2)   \begin{eqnarray*} E_r=1.7(\frac{Z_b}{Z_g})^{\alpha} \end{eqnarray*}

② H>Zbの場合

(3)   \begin{eqnarray*} E_r=1.7(\frac{H}{Z_g})^{\alpha} \end{eqnarray*}

Hとは建物の高さ(建築物の高さと軒の高さの平均値)となります。
Zb、Zg、αは、建物が建設される地域の地表面粗度区分により決まる値です。
つまり、建物の高さが大きいほど、Erが大きくなり、Gfも大きくなり、結果的に風圧力も大きくなります。

地表面粗度区分 Zb[m] Zg[m] α
Ⅰ(平坦で障害物なし) 5 250 0.1
5 350 0.15
Ⅲ(Ⅰ、Ⅱ又はⅣ以外) 5 450 0.2
Ⅳ(都市化が激しい) 10 550 0.27

区分Ⅰは、周囲が田んぼばかりの田舎町、区分Ⅳは東京の中心地のような高層ビルが密集した地域になります。
区分Ⅱは表現が難しいのですが、これは別の機会に説明します。区分Ⅲは、前述したどれにも該当しない区分となります。

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【2】風圧力と風圧荷重の計算

建築基準法施行令では、風圧力の計算式が定められています。
風圧力w[N/㎡]とは、窓面を含む建物の外壁面に作用する暴風(台風など)による圧力です。風圧力は、速度圧と風力係数をかけた値(単位平米当たりの荷重)となります。
風圧力の基本量は速度圧q[N/㎡]といいます。速度圧qは、建物の高さや周辺状況による影響係数(ガスト影響係数)をE、基準風速をVoとすると、以下の式で計算されます。
風力係数をCfとするとき、風圧力wは以下の式で計算します。

(4)   \begin{eqnarray*} w=qc_f \end{eqnarray*}

風力係数とは、「建物の形状(屋根が片流れ、切妻、陸屋根、のこぎり屋根など)による影響係数」となります。
建物の形状によって、風の作用の仕方は変わるため、風力係数という考え方が生まれ、Cpeを外圧係数、Cpiを内圧係数とすると以下の式で計算されます。

(5)   \begin{eqnarray*} C_f=C_{pe}-C_{pi} \end{eqnarray*}

風圧力(単位面積当たりの暴風による力)で、建物の「床」に作用すると考えます。
受風面積(建物の幅, 高さ)によって、その大きさは変わります。よって、建物全体に作用する暴風の力は、風圧力に受風面積を掛けて計算します。

受風面積Sは「幅×上下階の高さの半分の合計」で計算します。
よって、上記の建物の場合、幅がDとすると、2F床の風荷重を計算するときの受風面積S2は「D(h1+h2)/2」となります。
1Fと最上階に関しては「下階、上階が無い」ため、一般階の半分程度の受風面積になります。
1Fの受風面積S1は「Dh1/2」、最上階の受風面積S3は「Dh2/2」となります。

上図の建物の各階の床に作用する風荷重Qw1, Qw2, Qw3は風圧力wのとき以下のとおりです。

(6)   \begin{eqnarray*} Q_{w1}=\frac{wDh_1}{2}\\ Q_{w2}=wD\frac{h_2+h_3}{2}\\ Q_{w3}=\frac{wDh_2}{2}\\ \end{eqnarray*}

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