「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の違い・比較

AIや機械学習を学ぶ際に登場する「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の違いについて解説します。

「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の違い

「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の違いを表にまとめると以下のとおりです。

学習タイプ 正解ラベル 主な目的 代表例 評価方法
教師あり学習 あり 予測・分類 回帰・分類モデル 精度・誤差
教師なし学習 なし 構造発見 クラスタリング・次元削減 可視化・統計指標
強化学習 なし(報酬) 最適行動選択 Q学習・DQNなど 累積報酬

次節では、これらの違いについて詳しく解説します。

教師あり学習

教師あり学習(Supervised Learning)とは、「入力データ(特徴量)」とそれに対応する「正解ラベル(出力)」がセットになったデータを使って学習する手法全般を指します。つまり、教師あり学習によって生成されるモデルは「正解を当てる」ように訓練されます。

  • 特徴
    • 学習データに正解ラベルが必要
    • 主に「分類」や「回帰」に使われる
    • 精度評価がしやすい(正解があるため)
  • 代表的なアルゴリズム
    • 線形回帰、ロジスティック回帰
    • サポートベクターマシン(SVM)
    • 決定木、ランダムフォレスト
    • ニューラルネットワーク、深層学習

活用事例

シナリオ 学習目的
売上予測 回帰 商品価格や天候から売上を予測
顧客の離脱予測 分類 顧客が契約を継続するかどうか
画像認識 分類 猫か犬かを判定する
医療診断 分類 病気の有無を診断する
セキュリティ 分類 メールが「スパムか否か」を判定する

教師なし学習

教師なし学習(Unsupervised Learning)とは、正解ラベルがないデータを使って、データの構造やパターンを発見する手法全般を指します。つまり、教師なし学習により生成されるモデルは「データの特徴を自分で見つける」ように学習します。

  • 特徴
    • 学習データに正解ラベルは不要(分類先が決まっていない)
    • 主に「クラスタリング」や「次元削減」に使われる
    • 生成されたモデルの評価が難しい(正解がないため)
  • 代表的なアルゴリズム
    • k平均法、階層型クラスタリング
    • 主成分分析(PCA)
    • トピックモデル(LDA)

活用例

シナリオ 学習目的
顧客セグメンテーション クラスタリング 購買傾向でグループ化
高次元データの可視化 次元削減 PCAで2次元に圧縮して可視化
テキストのトピック抽出 トピックモデル ニュース記事の分類

強化学習

強化学習(Reinforcement Learning)とは、エージェント(学習者)が環境と相互作用しながら、「報酬」を最大化するように行動を学習する手法です。正解はなく、試行錯誤で最適な行動を見つけます。

  • 特徴
    • 学習データに正解ラベルはなく、「報酬」が与えられる
    • 状況に応じた「行動選択」が中心
    • 時系列的な学習が多い(状態 → 行動 → 報酬)
  • 代表的なアルゴリズム
    • Q学習(Q-learning)
    • SARSA
    • Deep Q Network(DQN)
    • Policy Gradient法
  • 活用例
    • ゲームAIが勝利を目指してプレイを学習
    • ロボットが障害物を避けながらゴールに到達
    • 自動運転車が安全かつ効率的に走行する方法を学習

活用例

シナリオ 学習目的
ゲームAI 報酬最大化 勝利するための戦略学習
ロボット制御 状況判断 障害物を避けて移動
自動運転 行動選択 安全かつ効率的な運転
工場の最適化 操作戦略 生産効率を最大化

どの学習タイプを選ぶべきか?

目的 学習タイプ 選定基準
正解ラベルがある予測・分類 教師あり学習 精度重視・明確な目的変数あり
データの構造やグループ発見 教師なし学習 ラベルなし・探索的分析
状況に応じた最適な行動 強化学習 試行錯誤・報酬最大化が目的

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この記事を書いた人
西住技研

在学中はシステム制御理論や画像処理、機械学習を専攻分野として研究していました。就職後は、プログラミング(Python)を活用したデータ分析や作業自動化に取り組み、現在に至ります。そこで得たノウハウをブログで発信しています。
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