【法人文書とは】定義、判断基準

法人文書とは?定義や判断基準についてまとめました。

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【はじめに】 「法人文書」の定義

「法人文書」は、「法人文書に関する判断基準(法第2条第2項関係)」で次のように定義されています。

 「法人文書」とは、独立行政法人等の役職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているものをいう(法第2条第2項本文)。 ただし、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものについては除く(法第2条第2項ただし書)。

各文章の考え方は以下のとおりです。

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「独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した」

独立行政法人等の役職員が当該役職員に割り当てられた仕事を遂行する立場で、すなわち公的立場において作成し、又は取得したことをいい、作成したこと及び取得したことについて、文書管理のための帳簿に記載すること、収受印があること等の手続的な要件を満たすことを要するものではない。
文書、図画及び電磁的記録|独立行政法人等において現に事務及び事業において用いられている記録の形式については、上記の媒体によるもので網羅される。

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「文書、図画」

人の思想等を文字若しくは記号又は象形を用いて有体物に可視的状態で表現したものを指し、紙の文書のほか、図面、写真、これらを写したマイクロフィルム等が含まれる。

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「電磁的記録」

電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られた記録を指し、電子計算機による情報処理の用に供されるいわゆる電子情報の記録だけでなく、録音テープ、ビデオテープ等の内容の確認に再生用の専用機器を用いる必要のある記録も含まれる。また、電子計算機による情報処理のためのプログラムについても、法第2条第2項ただし書に該当するものを除き、電磁的記録に該当する。なお、「電磁的記録」には、ディスプレイに情報を表示するため一時的にメモリに蓄積される情報や、ハードディスク上に一時的に生成されるテンポラリファイル等は含まれない。

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「組織的に用いる」

作成又は取得に関与した役職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該独立行政法人等の組織において、業務上必要なものとして、利用又は保存されている状態のものを意味する。したがって、
イ 役職員が単独で作成し、又は取得した文書であって、専ら自己の職務の遂行の便宜のためにのみ利用し、組織としての利用を予定していないもの(自己研鑽のための研究資料、備忘録等)
ロ 役職員が自己の職務の遂行の便宜のために利用する正式文書と重複する当該文書の写し
ハ 役職員の個人的な検討段階に留まるもの(決裁文書の起案前の職員の検討段階の文書等。なお、担当職員が原案の検討過程で作成する文書であっても、組織において業務上必要なものとして保存されているものは除く。)等は、組織的に用いるものには該当しない。

作成又は取得された文書が、どのような状態にあれば組織的に用いるものと言えるかについては、
イ 文書の作成又は取得の状況(役職員個人の便宜のためにのみ作成又は取得するものであるかどうか、直接的又は間接的に当該独立行政法人の長等の管理監督者の指示等の関与があったものであるかどうか)
ロ 当該文書の利用の状況(業務上必要として他の役職員又は部外に配付されたものであるかどうか、他の役職員がその職務上利用しているものであるかどうか)
ハ 保存又は廃棄の状況(専ら当該役職員の判断で処理できる性質の文書であるかどうか、組織として管理している役職員共用の保存場所で保存されているものであるかどうか)等を総合的に考慮して実質的な判断を行う。

また、どの段階から組織として共用文書たる実質を備えた状態になるかについては、当該組織における文書の利用又は保存の実態により判断されることとなるが、例えば、
イ 決裁を要するものについては起案文書が作成され、稟議に付された時点
ロ 会議に提出した時点
ハ 申請書等が独立行政法人等の事務所に到達した時
ニ 組織として管理している役職員共用の保存場所に保存した時点
等が一つの目安となる。

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「保有しているもの」

所持している文書をいう。この「所持」は、物を事実上支配している状態をいい、当該文書を書庫等で保管し、又は倉庫業者等をして保管させている場合にも、当該文書を事実上支配(当該文書の作成、保存、閲覧又は提供、移管又は廃棄等の取扱いを判断する権限を有していること。なお、例えば、法律に基づく調査権限により関係人に対し帳簿書類を提出させこれを留め置く場合に、当該法人文書については返還することとなり、廃棄はできない等、法令の定めにより取扱いを判断する権限について制限されることはあり得る。)していれば、「所持」に該当し、保有しているということができる。また、一時的に文書を借用している場合や預かっている場合等、当該文書を支配していると認められない場合には、保有しているとはいえない。
新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの|一般に容易に入手又は利用が可能なものは、開示請求権制度の対象とする必要なく、対象とした場合には、図書館代わりの利用等制度の趣旨に合致しない利用が見込まれ、独立行政法人等の事務負担の面からも問題がある。しかしながら、一般に特定の文書の入手が容易であるかどうかの判別が困難であることから、「不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの」を類型的に対象文書から除くこととしたものである。不特定多数の者に販売することを目的として発行される文書は、紙媒体のものに限るものではなく、インターネット上で不特定多数の者への有償頒布を目的として発行される新聞、雑誌、書籍等も含まれる。独立行政法人等が公表資料等の情報提供を行っているものについては、本号に該当せず、開示請求の対象となる。これは、このような情報提供については、その内容、期間、方法等が独立行政法人等の裁量にゆだねられており、例えば、特定の期間や地域に限って提供されるものがあることから、一律に対象から除くことは適当ではない。ただし、実際の運用においては、情報提供で対応できる場合は、担当部局・課において配布していること、当該独立行政法人等のホームページに掲載していること等を教示する等の対応が適当である。

法律
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