【リチウムイオン電池】電解液の特徴・危険物の第何類の対象になる?

リチウムイオン電池の電解液の特徴や危険物の第何類の対象になるかについてまとめました。

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【はじめに】リチウムイオン電池の電解液とは

リチウムイオン電池 (LIB) には、正極と負極の間でリチウムイオン移動を媒介させるための電解液があります。
電解液には以下の要求を満たすことが求められます。

●3-4Vの電圧帯でも分解しない広い電位窓をもつこと(LIBの出力電圧は3-4Vのため)
※一般的に水系電解液は1.2 Vほどで電気分解されるので、有機溶媒が電解液として使用される
●高いイオン伝導度をもつこと
※環状カーボネートは粘度が高くイオン伝導度が低いため、鎖状カーボネートと混合させることで粘度を下げて改善させます

よって、LIBの電解液は、一般的に環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合有機溶媒に、電解質としてLiPF6などのリチウム塩が溶解させた混合液を用います(混ぜる物質と混合割合は各社製品によって異なり、重要なノウハウとなります)。

【環状カーボネート】
プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)など

【鎖状カーボネート】
ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)など

しかし、これらの有機溶媒は燃えやすく安全性に懸念があるため、近年では難燃性のイオン液体や固体電解質を用いたリチウムイオン電池 (LIB) の開発が行われています。

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【危険物】第四類第二石油類の非水溶性に該当

またこの混合液は一般的に引火性があり、引火点は40℃程度となるため、リチウムイオン電池の電解液は1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のものと規定されている危険物第四類(引火性液体)第二石油類に該当します。

つまり、危険物の規制に関する政令で第四類第二石油類の非水溶性の指定数量は1000リットルと規定されていて、リチウムイオン電池の電解液の総量が指定数量以上となる場合、貯蔵は危険物屋内貯蔵所にて行う必要があります。

リチウムイオン電池の製造工場だけでなく、大量のリチウムイオン電池を予備電源として保有しているビル等の建造物も電解液の指定数量が1000Lを超えると、この規制を受けます。

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【補足】電解液が水のリチウムイオン電池

2020年の段階では開発中ですが、消防法の規制を回避できる電解液が水のリチウムイオン電池が東芝で開発されているようです。

詳細:東芝が「世界初」の水系リチウムイオン電池を開発、低温対応と長寿命を実現

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物質・化学
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