【パーティクルフィルタとは】物体追跡の仕組みと計算方法

パーティクルフィルタによる動体追跡の原理・仕組みと計算方法について解説します。

パーティクルフィルタとは

パーティクルフィルタ(Particle filter)とは、確率分布に基づく時系列データの予測手法です。粒子フィルターや逐次モンテカルロ法とも呼ばれます。
多数のパーティクル(粒子)を用いて、現在の状態から将来の状態を推定します。画像処理の分野では、物体の追跡などに応用されています。

以下の画像は、パーティクルフィルタで物体追跡するときの簡単なイメージです。


パーティクルフィルタでは、正確な位置を求めるのでなく、「過去の状態から、追跡対象が次は〇〇%の確率でこの辺に来るのだろう」という推定をします。
パーティクルフィルタは計算量が少ないため、リアルタイムな物体追跡に応用されています。

パーティクルフィルタによる物体追跡の流れ

パーティクルフィルタによる物体追跡の流れは以下のとおりです。

  1. リサンプリング
    • 前フレームでの尤度(重み)に従って、パーティクルを撒き直します。(追跡対象の周りにパーティクルをばら撒く)
    • ※初期状態の場合、前フレームがないので追跡対象の周辺に一様にパーティクルを撒きます。
    • 尤度とは、「追跡したい対象物らしさ」のことです。例えば、「赤色の物体追跡」を行う場合、各パーティクルの周辺領域にある赤色の存在率などを尤度とします。
  2. 推定
    • 適当なモデルを使って現フレームにおける追跡対象の位置を推定し、パーティクルを少し動かします。
    • 動画のような2次元座標の場合、等速直線運動や適当な乱数のモデルが使われます
  3. 観測
    • 現フレームにおける各パーティクルの尤度と重み(正規化)を計算します。つまり、「②推定」の答え合わせをして実際の追跡対象の位置に近いパーティクルの重みを大きくします。
    • 重みが大きいパーティクルが集中している領域が追跡対象となります。

上記3つの手順を繰り返し行います。

パーティクルフィルタの実装例

Python版OpenCVでパーティクルフィルタを実装する方法について、以下ページで解説しています。

【Python/OpenCV】パーティクルフィルタで物体追跡
Python版OpenCVでパーティクルフィルタを実装し、物体追跡する方法をソースコード付きで解説します。

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この記事を書いた人
西住技研

在学中はシステム制御理論や画像処理、機械学習を専攻分野として研究していました。就職後は、プログラミング(Python)を活用したデータ分析や作業自動化に取り組み、現在に至ります。そこで得たノウハウをブログで発信しています。
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