カスケード型識別器(分類器)の原理・計算式

この記事では、機械学習におけるカスケード型識別器(分類器)のアルゴリズムや計算についてまとめました。

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カスケード型識別器とは

カスケード型識別器(Cascade detector)は、複数の強識別器を連結した識別器です。
カスケード型識別器では、各強識別器により順番に判別を行います。
最初の強識別器1で「正解」と判別されると、その次の強識別器2でまた判別を行います。
これを繰り返し、強識別器Nまで一貫して「正解」になった場合のみ、結果を正解として出力します。
途中で「非正解」と判別すれば結果は非正解として出力し、処理を終了します。

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具体例(顔検出の場合)

カスケード型識別器の理解を深めるために、顔検出のケースで説明します。
その場合、「入力」「正解」「非正解」の内容は次のようになります。

内容
入力 探索窓画像
正解 顔画像である
非正解 顔画像でない

強識別器1~Nまで一貫して「顔画像である」と判別された場合のみ「探索窓画像中には顔画像がある」とします。
途中で強識別器が「顔画像でない」と判別すれば処理を終了し、「探索窓画像中には顔画像がない」とします。

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カスケード型識別器の利点

カスケード型識別器の利点は処理を高速化できる点です。
カスケード型識別器では、手前にある強識別器ほど判別基準を緩く(誤検出を高く)します。
判別基準を緩くすると、判別に使用する特徴数が少なくなるため、計算時間は短くなります。

よって、非正解の入力を手前の強識別器で素早く排除でき、全体の処理を高速化できます。

顔検出の場合、入力画像の探索窓は非顔領域である確率が高いです。
よって、非顔領域をいかに素早く排除するかが高速化の肝になります。

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カスケード型識別器の作り方

カスケード型識別器の作り方は次の通りです。

説明
1 N個の識別器それぞれに対して目標値(最小検出率dと最大許容誤検出率f)を設定します。
2 教師データ(正解・非正解データ)を用意します。
3 N個の強識別器をAdaBoostで順に学習させます。
3.1 i番目の強識別器に弱識別器を1つ追加します。(最初はi=1)
3.2 強識別器に教師データを与えて、判別を行わせます。
3.3 判別結果が目標値dを満たすよう、強識別器の閾値を下げます。(※誤検出率は高くなる)
3.4 誤検出率が目標値fを満たせばAdaBoost学習を終了し、手順3.5に進みます。満たさなければ手順3.1に戻って学習を続けます。
3.5 判別を誤った非正解データのみを、次の強識別器を求めるのに使用する非正解データとします。
3.6 手順3.1に戻り、次の強識別器を作成します。(i=i+1)

前節で述べた通り、高速化のために手前にある強識別器に対しては最大許容誤検出率fを高めに設定します。

AdaBoostによる学習の原理については下記事で解説しています。
【参考】AdaBoostの原理・計算式

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参考文献

[1] Paul Viola, Michael Jones “Rapid Object Detection using a Boosted Cascade of Simple Features” (2001)

【関連記事】
【画像処理入門】アルゴリズム&プログラミング

コメント

  1. 匿名 より:

    強識別器ではなく弱識別器ではないでしょうか