【高速フーリエ変換】ナイキスト周波数とサンプリング周波数の違いとエイリアシング

高速フーリエ変換(FFT)におけるナイキスト周波数とサンプリング周波数の違いとエイリアシングについてまとめました。

【数値例】高速フーリエ変換(FFT)

次のような周期信号f(t)を用意します。

(1)   \begin{eqnarray*} f(t)=sin(2\pi f_1t)+sin(2\pi f_2t)+Noise \end{eqnarray*}

ここでf_1=10, f_2=20, Noiseは雑音とします。
次に周期信号f(t)をンプル数N=256、サンプリング周波数f_s=100でデジタルの周期信号f(n)に変換します。
そして、デジタル周期信号f(n)を離散フーリエ変換した結果は次の通りです。


右が入力信号f(n)、左が振幅スペクトル|F(k)|です。
振幅スペクトルを見ると、周波数10, 20のピークが大きいことがわかります。
振幅スペクトルを見ると、低周波側(10, 20Hz)のスペクトルが大きいことがわかります。
これは、入力信号が2つの正弦波(周波数10と20)の合成波であるためです。

サンプリング間隔が0.01なのでサンプリング周波数は100Hzとなります。
高周波側(80, 90Hz)のスペクトルは、0Hz~50Hzの正の周波数(sin)に対して、-50Hz~0Hzの負の周波数(cos)に相当する成分です。
入力信号が実数の場合、低周波側と高周波側のスペクトルは対称になりますが、複素数の場合は非対称になります。

【エイリアシング】サンプリング周波数、ナイキスト周波数

用語 概要
サンプリング周波数f_s 1秒間にサンプリングされるデータ数です。例えば、サンプリング周波数f_sが100[Hz]ならば1秒間に100個の割合でデータを取得します。
ナイキスト周波数f_n サンプリングしたときに表現できる、周波数の最大値をナイキスト周波数f_nといいます。標本化定理よりサンプリング周波数f_sの半分となります。つまり、ナイキスト周波数f_nは正しく検出できる最大の周波数となります。例えば、サンプリング周波数f_s=100[Hz]なのでナイキスト周波数f_nは50[Hz]となります。高速フーリエ変換で周波数解析を正確に行うためには、入力信号の最大周波数の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングする必要があります。先程の数値例では入力信号の最大周波数が20[Hz]なので、サンプリング周波数は最低でも40[Hz]にすることになります。
エイリアシング サンプリング周波数f_sが不十分な場合(ナイキスト周波数f_nより高い周波数の信号を標本化)、標本化した際に折り返し (エイリアシング) という現象が生じ、元信号に忠実に復元できません。

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