この記事では、QR分解の式の証明ついて解説します。
QR分解とは
QR分解とは、線形代数において行列を直交行列Qと、上三角行列Rの積に分解する手法です。
線型最小二乗問題や固有値問題を解く時に利用されます。
QR分解を計算する手法としては、ギブンス回転、ハウスホルダー変換、グラム・シュミット分解などがあります。
QR分解の定理(公式)
任意の正則行列Xは、次式のように分解できます。
(1)
ここで、Qは直交行列、Rは上三角行列です。
これをQR分解といいます。
QR分解の証明
n次の正則行列をXとします。
(2)
このとき、Xの列ベクトル は、互いに線形独立となります。
よって、シュミットの直交化より、互いに直交する単位ベクトルを生成できます。
(3)
ここで、単位ベクトルは次式を満たします。
(4)
また、(1)式は
(5)
と書き直すことができ、これは行列の形で
(6)
と整理できます。そしてQ, Rを
(7)
と定義すると
(8)
と表せます。Qを構成する が(2)式を満たすので
(9)
となり、Qは直交行列であることがわかります。
Rは上三角行列であるのでQR分解の公式が成立します。
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