遅れ力率と進み力率の違いとは?進相コンデンサや分路リアクトルにより力率改善 【電験3種・理論・電力】

遅れ力率と進み力率の違いとは?進相コンデンサや分路リアクトルの効果と計算式と計算問題について解説します。

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遅れ力率とは

遅れ力率とは、ベクトル図において無効電力Qが下向きのベクトル(電圧より電流が遅れている状態)のときの力率です。
一般的に、電気設備や電気機器の多くは誘導性(コイル)であり、遅れ力率となります。
そのため、電気設備や電気機器の力率改善(無効電力を減らして、力率を1に近づけること)を行うには、負荷と並列に進相コンデンサ(電力用コンデンサ)を接続し、進み無効電力により、力率を改善します。

力率改善を行うことで、皮相電力を小さくできるため、回路網に流れる電流を減らすことができ、送配電線の電力損失の軽減や設備の有効利用などができます。

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電力用コンデンサによる力率改善

電力用コンデンサは、進相コンデンサの1種で、高圧・特別高圧等の電源設備で「力率改善」「電圧調整」に使用されるコンデンサーです。

  • 力率改善
    • 電力用コンデンサーに流れる電流の位相は、電圧の位相より90度進んでいるため、一般の負荷と並列に接続すると、合成された電流の位相は電圧の位相に近づき。力率が1に近き力率を改善されます。
  • 電圧調整
    • 系統に電力用コンデンサーを並列に接続します。すると、コンデンサーに流れる電流の位相が、電圧の位相より90度進むため、電圧が上昇します。逆に、電力用コンデンサーを切り離すと、電圧が低下する。このように電力用コンデンサーのスイッチングにより電圧調整ができます。
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【例題1】電力用コンデンサーの容量計算

【例題】

使用電力600〔kW〕、遅れ力率80〔%〕の三相負荷に電力を供給している配電線路に対して、負荷と並列に電力用コンデンサを接続する。このときの線路損失を最小とするコンデンサの容量〔kvar〕を求めます。

【解答】

皮相電力$S$と無効電力$Q$を計算します。

\begin{eqnarray}
S&=&\frac{P}{cos\theta} = \frac{600}{0.8} = 750[kVA]\
Q&=&\sqrt{S^2-P^2}=\sqrt{750^2-600^2}=\sqrt{202,500}=\sqrt{450^2}=450[kvar]
\end{eqnarray}

ここで、線路損失が最小となるのは、無効電力Qが0〔kvar〕(力率が1まで改善)となるときです。
よって、「無効電力Qと等しい容量(450〔kvar〕)をもつ電力用コンデンサを負荷と並列に接続」します。

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有効電力・無効電力・皮相電力・力率

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参考動画

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