初心者でも超簡単に天体観測(電視観望)できるスマート望遠鏡(SeeStar S50)の特徴や使い方についてまとめました。
SeeStar S50とは
Seestar S50は、ZWO社が販売している2023年11月現在ではコスパ最強のスマート望遠鏡です。
天体の電視観望に必要な装置(望遠鏡、電動フォーカサー、天体カメラ、ASIAIR、経緯台、ヒーター、光害カットフィルターなど)が一体化しているため、これ1台とスマートフォンもしくはタブレットがあれば天体観測ができます。
コンパクトかつ軽量(本体重量は約3kg)で、スマートフォンやタブレットだけで専用アプリから簡単に操作して天体観測できます。
主な特徴
- 準備作業がとにかく楽
- Seestar S50は組み立てて水平(傾斜3度以内に収める)に置けば、あとは専用アプリで観察したい天体を選べばSeestar S50が自動で目標の天体を捉えて天体観測ができます(準備時間は数分)。
- 【写真1】のように、箱から取り出して簡単に組み立てできます。
- 一方、電視観望装置を自作した場合、真北に向けて水平に置いた後、ピント合わせ、アライメント作業(明るい2つの星を手動で導入)、画像補正等を行う必要があり、慣れていても15〜30分程度かかります(具体的にどんな感じかは以下のページをご参考ください)。
- 撮影作業がとにかく楽
- 【動画1】は、Seestar S50本体を三脚で設置したあと、アプリでオリオン大星雲を自動導入しライブスタック撮影している様子です。淡々とアプリを操作しているだけで簡単に撮影していることがわかると思います。
- Seestar S50の場合、ピント合わせは専用アプリでボタン1つ(オートフォーカス:AF)です。
- ライブスタックも、ボタン1つでスマートフォンのカメラアプリと同じような感覚の操作できてしまいます(良くも悪くも細かい調整はできないため、中上級者にとっては手が届かないかゆい場面もあると思います)。
- 一方、電視観望装置を自作した場合、観測対象の天体や周囲の状況に合わせてピント合わせや画像調整用のパラメータを設定する必要があります(中上級者やカメラに詳しくない人は結構勉強しないと大変)。
- 光害地でも結構撮れる
- 【写真2】は光害地(都市部)からSeestar S50を用いて撮影した天体写真(画像処理なし)です。
- 光害カットフィルターも内蔵(ON・OFF切替え可能)されているため、光害地でも明るい星雲や銀河は10分前後の露光時間でも捉えることができます。
- コスパ最強
- お値段は2023年11月現在で約8万円と、コスパも素晴らしいです。
- Seestar S50と同等のスマート望遠鏡をパーツ一式揃えて自作しても8万円以上は掛かるでしょう。例えば、初心者向けで人気な電視観望セット(ACUTER OPTICSトラバース + AskarFMA180セット + PlayerOneなど)でも10万円以上します。
- 物理的な拡張性は低い
- *Seestar S50は装置が一体化してしまっているため、物理的な拡張(鏡筒や天体カメラの変更等)ができません。
- 電視観望装置を自作した場合、物理的な拡張(鏡筒や天体カメラの変更)ができます。ただし、物理的な拡張(装置の購入)にハマるとお金がどんどん消えていくので、Seestar S50は経済的とも言えます。また、機器同士の相性の問題もあるため、ある程度の知識や慣れがないと「拡張したくて〇〇を購入してみたけど、なぜかうまく映らない・・・」といったトラブルもあります。
【写真1】組立ての様子
【動画1】オリオン大星雲撮影の様子
SeeStarを水平に設置してスマホとWifi接続したら、以下のようにアプリで観たい天体を選択すると、以下のようにSeeStarが勝手に動いて自動導入します。
【自動導入の様子】
【自動導入〜ライブスタックの様子】
【写真2】撮影例
SeeStar S50の仕様
SeeStar S50の仕様は以下のとおり。
仕様 | 概要 |
---|---|
口径 | 50mm |
口径比 | F4.9 |
焦点距離 | 246mm |
イメージセンサー | IMX462 (カラーCMOS) |
センサーサイズ | 1/2.8″ |
解像度 | 1080×1920 |
ピクセルサイズ | 2.9×2.9μm |
A/Dコンバーター | 12bit |
画角 | 約0.7°×1.3°(縦長に撮影される)※1ピクセルあたり約2.4秒角 |
架台 | 経緯台式 |
制御 | Androidアプリ、iOSアプリ(スマホで制御) |
SeeStar S50の基本設定・操作
ZWO SeeStar S50のセットアップと基本操作については以下記事で解説しています。

SeeStar S50の初回セットアップ&撮影方法まとめ
SeeStar S50の初回セットアップと撮影方法についてまとめました。
惑星の観察
惑星モードで土星や木星などを観察した結果を以下ページで紹介しています。
結論から言うと、光害地からでも土星の輪っかと木星の縞模様を観察することができました。

【SeeStar S50】土星・木星を「惑星モード」で観察した結果
SeeStar S50で土星・木星を「惑星モード」で観察した結果について紹介します。
コメント