【電気事業法 第57条】一般用電気工作物の調査義務

「電気事業法 第57条」「電気事業法施行規則第96条」の一般用電気工作物の調査義務(電線路維持運用者に発生)についてまとめました。

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【法57条】調査の義務

電気事業法第57条の第一項及び電気事業法施行規則第96条の第一項では、「一般用電気工作物」の設置や工事が完成し場合、「電線路維持運用者」には一般用電気工作物が省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査する義務が発生することが定められています。

(調査の義務)
第57条 一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持し、及び運用する者(以下この条、次条及び第八十九条において「電線路維持運用者」という。)は、経済産業省令で定める場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、その一般用電気工作物が前条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。
2 電線路維持運用者は、前項の規定による調査の結果、一般用電気工作物が前条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知しなければならない。
3 経済産業大臣は、電線路維持運用者が第一項の規定による調査若しくは前項の規定による通知をせず、又はその調査若しくは通知の方法が適当でないときは、その電線路維持運用者に対し、その調査若しくは通知を行い、又はその調査若しくは通知の方法を改善すべきことを命ずることができる。
4 電線路維持運用者は、帳簿を備え、第一項の規定による調査及び第二項の規定による通知に関する業務に関し経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
5 前項の帳簿は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

(調査業務の委託)【2021年度 法規問1出題】
第57条の2 電線路維持運用者は、経済産業大臣の登録を受けた者(以下「登録調査機関」という。)に、その電線路維持運用者が維持し、及び運用する電線路と直接に電気的に接続する一般用電気工作物について、その一般用電気工作物が第五十六条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査すること並びにその調査の結果その一般用電気工作物がその技術基準に適合していないときは、その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知すること(以下「調査業務」という。)を委託することができる。
2 電線路維持運用者は、前項の規定により登録調査機関に調査業務を委託したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。委託に係る契約が効力を失つたときも、同様とする。
3 前条第一項の規定は、電線路維持運用者が第一項の規定により登録調査機関に調査業務を委託しているときは、その委託に係る一般用電気工作物については、適用しない。

【関東エリアの一例】
電線路維持運用者・・・東京電力パワーグリッド株式会社など
登録調査機関・・・関東電気保安協会など

・関東電気保安協会は登録調査機関として登録されている(経済産業省への登録が必要)
・関東電気保安協会は東京電力パワーグリッド株式会社からの委託を受けて、原則として4年に1回、各家庭(一般用電気工作物)を訪問して、電気設備が技術基準に適合しているかの調査を行う。具体的には、絶縁抵抗測定(実際には停電できず絶縁抵抗測定が困難な場合が多く、代わりに漏えい電流が1mA以下であることを確認している)
・関東東北産業保安監督部は、法第107条に基づき、登録調査機関の調査業務及び調査方法が適切であるか確認するための立入検査を実施している。

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【施行規則第96条】調査の義務は「電線路維持運用者」に発生

また、電気事業法施行規則第96条の第一項では、以下のように定められています。

第九十六条 法第五十七条第一項の経済産業省令で定める場合は、次のとおりとする。
一 電線路維持運用者が維持し、及び運用する電線路と直接に電気的に接続する一般用電気工作物が、当該電線路を介して供給される電気を使用するものである場合以外の場合
二 電線路維持運用者が維持し、及び運用する電線路が、災害その他非常の場合に、一時的に、当該電線路と直接に電気的に接続する一般用電気工作物に供給される電気の電路となる場合
電気関係報告規則第3条 – e-Gov法令検索

以上の2点から、「一般用電気工作物」の設置や工事が完成し場合、「電線路維持運用者」には一般用電気工作物が省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査する義務が発生します。

ここで、一般用電気工作物とは、一般的には住宅、小規模店舗の受電設備などに設置される「低圧受電設備(600V以下の受電設備)」です。

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【補足】登録調査機関の立入検査

電気事業法第57条の2第1項の規定による調査業務の委託を受けている「登録調査機関」の行う調査業務及び調査方法が適切であるかどうかを確認するために、電気事業法第107条第7項の規定により立入検査を産業保安監督部が実施しています。
令和元年度登録調査機関の立入検査結果について」によれば、検査内容は以下の10項目とされています。

(1) 登録基準の適合状況
(2) 規程類の整備状況
(3) 組織及び運営
(4) 法令に基づく報告、届出等の履行状況
(5) 事業計画及び実績
(6) 調査に必要な機械器具の配備と管理
(7) 調査員の選任状況等
(8) 調査業務の実施状況
(9) 需要家からの問い合わせへの対応状況
(10) 外注管理の状況

(立入検査)
第百七条 主務大臣は、第三十九条、第四十条、第四十七条、第四十九条及び第五十条の規定の施行に必要な限度において、その職員に、原子力発電工作物を設置する者又はボイラー等(原子力発電工作物に係るものに限る。)の溶接をする者の工場又は営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、原子力発電工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

(略)

7 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、登録安全管理審査機関又は登録調査機関の事務所又は事業所に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

(略)

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